ウイングスパンのルール&レビュー|鳥でコンボする鳥類繁栄ゲーム
ウイングスパン(Wingspan)は、プレイヤーが鳥の愛好家になり、餌を集める・鳥を呼び寄せる・卵を産ませるなどして、鳥の繁栄を目指すボードゲームです。
基本セットの他にも拡張版がどんどん発売されていて、今後もシリーズとしてどんどん大きくなっていきそうです!
今回は、鳥類繁栄ボードゲーム『ウイングスパン』のルール&レビューを詳しく紹介します。
実際に遊んで良かった点だけでなく、微妙だった点もレビューしているので、ぜひチェックしてみてください!
▼ウイングスパン
ゲーム名 | ウイングスパン 完全日本語版 |
プレイ人数 | 1~5人 |
プレイ時間 | 40~70分 |
対象年齢 | 10歳~ |
発売時期 | 2019年10月 |
デザイナー | エリザベス・ハーグレーブ |
版元 | STONEMAIER |
日本語版販売 | アークライトゲームズ |
関連ページ | ・アークライトゲームズ公式 ・BoardGameGeek |
鳥でコンボする!鳥類繁栄ボードゲーム
ウイングスパンでは、プレイヤーが鳥の愛好家となって鳥類の繁栄を目指します。
手番では「鳥カードを出す・餌の獲得・産卵・鳥カードの獲得」のうち1つを実行するだけなので、遊び方はかなりシンプルです。
様々な能力をもつ多種多様な鳥カードを場に並べて、カード同士のコンボを考えるのが楽しいエンジンビルド系のボードゲームになっています。
相手を邪魔する妨害要素がないので、他の人のプレイを気にせず自分がやりたいことだけに集中できるのが良いところ。攻撃的なゲームが苦手な方には特におすすめです。
まず注目なのが、1枚として同じカードのない「170種類」もの鳥カード!
カードにはリアルなイラストに加えて「翼長」や「鳥の解説」が書かれていて、鳥の詳細な情報が載っています。
また、「餌箱に見立てたダイスタワー」や「かわいい卵トークン」もあります!
このように、コンポーネントの至るところから作者の鳥への愛情が伝わってくる作品です。
実際にウイングスパンを遊んでみて感じた良い点・微妙な点は、記事後半のレビューに書いています。
たくさんの賞を受賞した人気作
ウイングスパンは、ドイツで選定される最も有名なボードゲームの賞である『ドイツ年間ゲーム大賞』のエキスパート部門の大賞に選ばれています。
また、2020年5月4日には、世界最大のボードゲームサイト「ボードゲームギーク(Boardgamegeek)」のユーザー投票で決まる賞『ゴールデンギーク賞(Golden Geek Awards)』の大賞に選ばれました。大賞のほかにも「カードゲーム・ファミリーゲーム・ソロゲーム・アートワーク・イノベーティブ・ストラテジー」の6部門も受賞しています。
このように、ウイングスパンは、有名な賞の数々を受賞していて、世界的に評価の高いボードゲームです。
ウイングスパンを遊ぶ準備
まずは、ウイングスパンのゲーム準備からです。
「場の準備」と「各プレイヤーの準備」に分けて説明します。
場の準備
場に鳥カードをセット
山札から鳥カード3枚引いて、カードトレイに表向きでセットします。
餌ダイスを振る
餌箱型ダイスタワーの裏からダイスを5個入れて、振っておきます。
このダイスの出目は数字ではなく「餌」が描かれています。プレイヤーはこの餌箱から鳥の餌を仕入れます。
目的タイルを配置する
最後に、「各ラウンドごとのボーナス条件」を決めます。
「目的タイル」をシャッフルして、「目的ボード」にランダムに4枚配置します。
目的ボードは4列あり、それぞれ1~4ラウンド終了時の「ボーナス点の獲得条件」を表しています。※詳しくは後述
各プレイヤーの準備
各プレイヤーは「個人ボード」「アクションコマ8個」「鳥カード5枚」「餌トークン5個」を受け取ります。
手札の鳥カードを選ぶ
5枚の鳥カードのうち、手札として残すカードを決めます。
残したいカードが決まったら、その枚数と同じ数の餌を支払わなければなりません。
例えば、鳥カードを2枚残すなら、餌トークンを2個支払います。
この場合、手元に残るのは「カード2枚」と「餌トークン3個」になります。
ボーナスカードを選ぶ
ボーナスカード2枚を引き、1枚を選びます。
ゲーム終了時に、このボーナスカードの達成度合いで点数を獲得できます。
ウイングスパンのルール紹介
ここからは『ウイングスパン』のルール・遊び方を紹介します。実際に遊んでみると、重量級ボードゲームの中でもかなりシンプルです。
手番でできる4つのアクション
手番でできることは、4つのアクションのうち1つだけです。
手番を1回行うごとに、自分のアクションコマを1つ消費します。
①鳥カードを出す
手札の鳥カードを個人ボードに出すことができます。
カードを出す時には、カードの左上に描かれている「生息地」と「餌」を確認します。
上の鳥なら、「無脊椎動物」と「果実」を払うことで「草原」に置けます。
個人ボードには3種類の生息地(森林・草原・湿地)があります。
鳥カードを出すときは、必要な餌を消費して対応している生息地に左詰めで置きます。
カードを左から2列目以降に置く時は「卵」が必要になります。「2・3列目は卵1個」「4・5列目は卵2個」を支払います。
②餌の獲得
餌箱からダイスを取る
「森林エリア」の最も左側の空いているマスのアイコンを確認して、そのアクションを実行できます。
例えば、森林にカードが配置されていなければ、最も左側のアクション「餌を1個獲得」となります。
また、4列目まで鳥がいたら、最も左側の空いてるマスが5列目になり「餌を3個獲得」となります。
ダイス3個が描かれているので、餌を3つ獲得できる
このように、鳥がたくさんいるとアクションの内容が強化されていきます!
餌の獲得は、餌箱から好きなダイスを取って、その出目の餌トークンを手に入れます。
獲得したダイスは餌箱の外に置いておきます。
ダイスがなくなるか餌が1種類になったら、全てのダイスを振り直して補充します。
「森林」にいる鳥の能力発動
餌の獲得が終わったら、森林にいる鳥の能力が発動します。
カード下部に「起動時」と書かれた鳥がいれば、その能力を発動できます。
森林エリアに複数の鳥がいる場合は、右から順に発動していきます。
③産卵
卵は、「鳥カードの配置」で必要になったり、「ゲーム終了時の得点」にもなる重要なアイテムです。
卵を獲得する
「草原エリア」の最も左側の空いているマスを確認して、そのアクションを実行できます。
例えば、草原の2列目まで鳥がいたら、3列目のアクション「卵を3つ獲得」ができます。
獲得した卵は自分が配置した鳥カードの上に置くことができます。鳥の種類ごとに「卵の配置上限数」が決まっています。(カードの左側に載っています)
ちなみに、卵の色は特に関係ないので、好きな色を使ってOKです。
「草原」にいる鳥の能力発動
先ほどと同じように、草原にいる鳥カードに「起動時」と書かれていれば、その能力を発動できます。
④鳥カードの獲得
鳥カードを手札に加える
「湿地エリア」の最も左側の空いているマスを確認して、そのアクションを実行できます。
例えば、湿地の4列目まで鳥がいたら、5列目のアクション「カードを3枚獲得」ができます。
獲得するカードは「カードトレイにあるカード」か「山札の一番上」から選びます。
「湿地」にいる鳥の能力発動
湿地にいる鳥カードに「起動時」と書かれていれば、その能力を発動できます。
ラウンドの終了
手番1回につきアクションコマを1つ消費していき、全てのコマを使ったらラウンド終了となります。
ゲームスタート時はアクションコマを8個持っているので、1ラウンド目なら8回の手番で終了です。
ラウンドボーナス点の獲得
1回のラウンドが終了したら、「目的タイルのボーナス条件」で順位をつけて、順位に対応した点数を獲得します。
下の場合、1ラウンド目の目的タイルが「森林にある鳥カードの数」で、「1位が4点獲得」、「2位が1点獲得」となっています。
各順位に自分のアクションコマを置いておきます。
ラウンドごとにアクション数が減っていく
ラウンドごとに使えるアクションコマの数が1個ずつ減り、手番の数が少なくなっていきます。
- 1ラウンド目…8手番
- 2ラウンド目…7手番
- 3ラウンド目…6手番
- 4ラウンド目…5手番
ゲームの終了と得点計算
4ラウンド終えると、ゲーム終了して、得点計算を始めます。
まずは、個人ボード上に出した「鳥カードの得点」を計算します。
鳥カードの左側には勝利点が描かれているので、自分が出した鳥カードの点数を合計します。
この他にも、以下の点数を計算します。
- ボーナスカードの得点
- ラウンド終了時ボーナスの得点
- 個人ボード上に配置した「卵」「餌」「鳥カードの下に差し込んだカード」1つにつき1点
これらの点数を合計して、最も点数の高い人の勝利です。
ウイングスパンを遊んだ感想
実際にウイングスパンを遊んでみて、良い点&微妙な点をレビューします。
良い点①エンジンビルドの爽快感
ウイングスパンは、自分のエリアにたくさんのカードを並べるほど、1アクションでできることが増えるという「エンジンビルド」系の代表作です。
徐々にコンボを作っていき、終盤になるとできる事がどんどん増えていくのがマジで気持ちいいです!点数の取り方は「高得点の鳥を出す」「卵を増やす」「ボーナスを狙う」など複数あるので、どのようなエンジンを組み立てるのかという戦略を考えるのも楽しいです。
良い点②見た目だけではない美しさ
ウイングスパンは、豪華な餌箱型ダイスタワーや美しい鳥カードの数々、かわいい卵トークンなど、コンポーネントのクオリティが段違いです!経験上、第一印象がめちゃくちゃ良いので、インストする時もちゃんと聞いてもらえます。ウイングスパンがここまで流行ったのは、豪華な見た目によるところも大きいと思います。
そして、見た目と同じくらい美しいのが、鳥集めというテーマをゲーム内容に綺麗に落とし込んでいる点です。
初めて遊んだ時は、単にテーマを被せているのではなく、実際の鳥の情報がゲームに組み込まれていたことに驚きました。餌のタイプや巣のタイプ、翼長、卵の数などが鳥のリアルな生態に基づいていて、これらがちゃんとゲームに関係していることに鳥への深い愛情を感じます。テーマだけ被せてあるボードゲームも多いですが、ここまでテーマを大事にしていることに少し感動してしまいました。
良い点③初心者でも遊びやすい
ウイングスパンはボードゲーム初心者が初めて遊ぶ中量級~重量級ボードゲームにぴったりです。
ボードゲーム初心者でも遊びやすいと感じた点は以下の2つ。
1つ目は、手番でやることが分かりやすいこと。
手番の選択肢は4択で、カードをプレイする他に「餌か卵かカードを獲得する」のどれか。目的が明確なので、手番で迷って長考することがほとんどありません。実際ウイングスパンをボードゲーム初心者の人とも何度か遊びましたが、他の1時間級のボードゲームと比べてもとてもスムーズにプレイできていました。
2つ目は、妨害要素がほぼないこと。
ウイングスパンは邪魔し邪魔されることがなく、自分のエンジンビルドだけに集中できるので、ボードゲーム初心者でもめちゃくちゃ遊びやすいです。相手から攻撃されたり嫌がらせされることもないので、ゲームに負けても嫌な気分になりません。妨害が苦手な人でも安心して遊べるのがGOODです。
微妙な点①ソロプレイ感が強い
妨害要素がなくて初心者が遊びやすいと書きましたが、これを悪く言い換えるとソロプレイ感が強いと言えます。
相手が関係することと言えば、相手の手番中に発動できる能力(ピンク色カード)くらいで、相手の盤面自体には干渉できません。
基本的には他のプレイヤーの盤面を気にせずに自分の盤面だけ見ていればいいので、この点は好みが分かれるところです。
微妙な点②カード運の影響が強い
もう一つ微妙なところは、運要素が強いところ。
序盤に強力な鳥カード(特にカラス)を持っているとかなり有利で、最初の手札の良し悪しが結果に大きく影響します。相手の盤面に干渉できないこともあって、相手が強力なエンジンを作っているのをただ指をくわえて見ていることしかできないことも…。相手の強力なエンジンビルドを見て、ゲーム途中で負けを悟ることもままあります…。
微妙な点③カラスが強すぎる問題
ウイングスパンの最強カードとして有名な「シロエリガラス」と「ワタリガラス」。
支払うコストは重めですが、どちらも起動時に「卵を捨てる代わりに、共通在庫から好きな餌を2個獲得する」という超強力な効果。このカードが草原に置けるので、卵を獲得しながら餌も2個取れてしまいます。こうなると、餌が手に入る森林エリアの存在意義がなくなり、草原から卵と餌がザクザク手に入るようになります。
実際、序盤に相手にカラスを配置されたことがありますが、絶望感が半端なかったです…。
じゃあどうするかというと、我が家ではハウスルールでシロエリガラスとワタリガラスを抜いています。
ちなみに、拡張版の大洋の翼の説明書でも「この2枚を除外してもいい」と書かれています。カラスが理不尽に感じたら、抜いてプレイすることをおすすめします。
おすすめの拡張は『大洋の翼』
基本セットだけだと「卵の量産戦略が強い」と言われていますが、ウイングスパンの色々な問題が見事に神調整されたのが『ウイングスパン 大洋の翼』です。
大洋の翼の新しい個人ボードでは、餌と鳥カードが入手しやすくなり、卵の入手量が減りました。これにより卵戦略が弱体化して、色々な戦略が活きるようになりました。
また、餌箱とカードトレイのリセットができるようになったので、先ほど挙げたデメリットの「カード運の影響が強い」という点が緩和されています。
個人的には、これこそが「ウイングスパンの完成形」といっても過言ではないくらい必須級の拡張です。
関連記事 ⇒ウイングスパン大洋の翼を徹底紹介
また、2人プレイがメインなら、基本セットを購入せずに『ウイングスパン東洋の翼』だけでOKです。2人向けにインタラクションがアップしています。
関連記事 ⇒ウイングスパン東洋の翼を徹底紹介
まとめ:ウイングスパンの評価
- エンジンビルドの爽快感
- コンポーネントのクオリティが高い
- テーマがゲーム内容に綺麗に落とし込まれている
- 妨害要素がなく、ボードゲーム初心者でも遊びやすい
- ソロプレイ感が強め
- カード運の影響が強い
- 強すぎるカードがある
以上が、ウイングスパンのルール&レビューでした。
あえて微妙な点も書きましたが、ウイングスパンを一言で表すと「エンジンビルドの気持ちよさがよく分かる傑作ボードゲーム」です。特にボードゲーム初心者にはとっつきやすいゲームだと思います。
「気になるけど対戦相手がいない…」という方は、ウイングスパンのデジタル版もおすすめです。現在は、スマホアプリ・Nintendo Switch・Steamでも遊べます。
また、ウイングスパンのほかにも面白いボードゲームを知りたいという方は、別記事の『皆におすすめしたい!ボードゲームの人気ランキング』もチェックしてみてください。
スリーブ情報
ウイングスパンのカードサイズは「57×87mm」なので、『ドイツゲーム用スリーブ ユーロサイズ56mm×87mm用・厚口タイプ』がジャストサイズです。
スリーブサイズは「58×89mm」です。カードに対して1~2mm大きいだけなので、下の写真のようにぴったりです!
硬さは、少し柔らかめのハードタイプです。
ウイングスパンのカードは、1人プレイ用のカード(オートマカード)を含めると全部で「212枚」あるので、この100枚入りスリーブが「3袋」あれば足ります。
拡張シリーズ・派生作品
ウイングスパンの拡張シリーズと派生作品を紹介します。
拡張シリーズ
ウイングスパンには、現在3種類の拡張版が発売しています。
画像 | 拡張版のタイトル |
ウイングスパン 欧州の翼 | |
ウイングスパン 大洋の翼 | |
ウイングスパン東洋の翼 |
欧州の翼と大洋の翼は基本セットが必要な拡張版で、新しい能力やトークンが追加されています。実際に遊んでみると、拡張を加えても複雑にならず、戦略に幅が出るいい路線の拡張だと思います。
東洋の翼は1~2人用の独立型拡張版(基本セットなしで遊べるタイプ)です。新ルールのつがいモードではインタラクションがアップするので、ウイングスパンを2人で遊ぶ方におすすめです!また、基本セットと合わせることで、6~7人まで遊べる群鳥モードがプレイできます。
基本セットの後に買うなら、ウイングスパンに神調整が入った『ウイングスパン 大洋の翼』がおすすめです。理由はこの後のレビューに詳しく書いています。
また、拡張版については別記事で詳しく解説しているので、気になる方は下記の関連記事もチェックしてみてください。
派生作品
ウイングスパンのドラゴン版『ワイアームスパン(Wyrmspan)』が発表されました。
ワイアームスパンでは、プレイヤーがドラゴンの生息する世界のドラゴン研究者になります。自分の土地に隠された洞窟を発掘して、美しいドラゴンたちを自分の洞窟の保護区へと誘います。
ウイングスパンのメカニズムを継承しつつも、洞窟カード、ドラゴンギルドやドラゴンの幼体など様々な独自要素が導入されています。
詳しく知りたい方は『ウイングスパンのドラゴン版ワイアームスパンを徹底紹介』の記事をご覧ください。
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