カスカディアを徹底紹介!地形と動物の2層パズルボードゲーム
Twitterで話題になっていたカスカディア。先月、世界最大のボードゲームサイトBGGでもTOP100以内(現在は81位)に入りました。
今日までで計3回プレイしてみた印象としては、超ド安定な遊びやすいボードゲームです。やることが分かりやすくて、初見でも遊びやすいので、ボードゲーム初心者や家族で遊ぶのにうってつけのゲームだと思います。シンプルな中量級ボードゲームが好きな自分にとってはクリーンヒットでした。
今回は、『カスカディア(CASCADIA)のルール&レビュー』を徹底紹介します。
▼カスカディア 日本語版
▼カスカディアに合うスリーブ
商品名 | カスカディア 日本語版 |
プレイ人数 | 1~4人 |
プレイ時間 | 30~45分 |
対象年齢 | 10歳~ |
ジャンル | タイル配置、パズル、アブストラクト |
発売時期 | 2022年4月 |
デザイナー | Randy Flynn |
版元 | Flatout Games |
日本語版販売 | ケンビル |
価格 | 5,280円(税込み) |
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カスカディアはどんなボードゲーム?
2層構造のパズル系ボードゲーム
カスカディアは、「生息地」と「動物」の両方をうまく配置していく2層構造のパズル系ボードゲームです。
手番では、場にある「生息地タイル&動物ディスク」のペア4つから1つを選んで、手元に配置していきます。
生息地タイルはできるだけ地形が長く続くように配置して、動物ディスクは各動物の得点方法に則って高得点になるように配置します。
生息地と動物の2つのパズルを並行して行うので、生息地と動物のどちらを優先するかというジレンマが常にあります。一方で、タイルは四方八方に自由に伸ばせるので、窮屈感がなくて穏やかなプレイ感です。ルールがシンプルで遊びやすく、ゲーム後の満足度がとても高いので、ボードゲーム初心者やファミリーにおすすめです。
2022年ドイツ年間ゲーム大賞を受賞!
カスカディアは、2022年7月16日に発表された、ドイツ年間ゲーム大賞2022で大賞を受賞しました!
※リンクからレビュー記事に飛べます
詳細については『2022年ドイツ年間ゲーム大賞の受賞作まとめ』をご覧ください。
カスカディアの『内容物』
カスカディアの内容物がこちら。
内容物
《内容物》
生息地タイル85枚 / 動物ディスク100枚 / 自然トークン25枚 / 初期生息地タイル5枚 / 動物得点カード21枚 / 布袋1枚 / 得点シート1冊 /
動物トークンは全部で5種類で、「クマ・エルク・サケ・タカ・キツネ」があります。
生息地タイルには1~2種類の地形が描かれていて、地形の種類には「大平原・川・森林・山・湿地」があります。
カスカディアの『ゲーム準備』
まずは、カスカディアのゲーム準備からです。
「動物ディスク」は布袋にいれて、「生息地タイル」は裏返しておきます。(ディスクやタイルはここから補充する)
「生息地タイル」を4枚引いて並べて、さらに「動物ディスク」を4枚引いて並べます。タイル1個とディスク1個がペアになるので、場に4ペアが並びます。
そして、今回の得点ルールとなる「動物得点カード」をランダムに5枚選びます。
どのカードを選ぶかで、毎回得点ルールが変わるので、リプレイ性は高めです。
自分の手元に「初期生息地タイル」を置きます。
ゲーム準備が完了したら、下の画像のようになります。
カスカディアの『ルール』
ここからは、カスカディアのルール・遊び方を紹介します。
ゲームの目的
ゲームの目的は、「動物得点カードに従って高得点を狙う」&「地形を長く繋げる」です。
動物得点カードについては様々な種類がありますが、最初のゲームで推奨されている5枚をチェックしてみましょう。(画像の緑の丸の中の数字は勝利点)
動物得点カード
《クマ》 2頭のクマからなるグループの数に応じて勝利点を得る | |
《エルク》 直線状に並んだグループの大きさに応じて勝利点を得る | |
《サケ》 サケの連なりの大きさに応じて勝利点を得る | |
《タカ》 他のどのタカにも隣接していないタカの数に応じて勝利点を得る | |
《キツネ》 隣接する動物の種類数(他のキツネを含む)に応じて勝利点を得る |
上の通り、各動物で得点方法が異なりますが、「ペアを作る・直線に並べる・長く繋げる」というようにシンプルなので、頭に入りやすいです。
もうひとつは、タイルの地形を長く繋げること。森林は森林、川は川で接するように長く繋げるほど高得点になります。
詳しくは、ゲーム終了後の得点計算の部分で紹介します。
手番でやること
手番でやることは、以下の3つ。
- 生息地と動物のペアを選ぶ
- 生息地と動物を配置する
- 場の補充をする
「選ぶ⇒配置する⇒補充する」が終わったら、手番終了です。
①生息地と動物のペアを選ぶ
手番のプレイヤーは、場にある4つのペア(生息地タイル&動物ディスク)のうち1組を選びます。
「こっちの川が欲しいけど、あっちのサケが欲しい」というようなジレンマで悩みます…。
②生息地と動物を配置する
ペアを選んだら、それらを自分の手元に配置します。
生息地タイルは、配置済みの生息地タイルに隣接する(1辺が接する)ように配置します。
同じ地形が繋がらなくてもOKですが、同じ地形を長く繋げるほど得点がアップします。
動物ディスクは、同じ動物アイコンが描かれている生息地タイルに配置します。(タイル1枚につきディスク1個を配置)
2~3種類の動物が描かれているタイルには、それらのどの動物を置いてもOKです。
動物ディスクを配置できない・したくない場合は、布袋に戻します。
動物ディスクは、同じ手番中に獲得した生息地タイルの上に置いてもいいです。
動物ディスクをまつぼっくり(?)マークがあるタイルに配置した場合は、自然トークンを1枚獲得します。
自然トークンの使い方は後述します。
③場の補充をする
タイルとディスクを配置したら、場に生息地タイルと動物ディスクを補充して、4ペアある状態に戻します。
これで手番終了です。次のプレイヤーも「選ぶ⇒配置する⇒補充する」を繰り返します。
④自然トークンの使い方
先ほど紹介した「自然トークン」の使い道は以下の3つです。
- 場の動物ディスクのリセット
- ペアを無視したドラフト
- ゲーム終了時まで残せば1勝利点
場の動物ディスクのリセット
場にある動物ディスク4枚のうち任意の枚数を入れ替えることができます。
欲しい動物がいないときに使いましょう。
ペアを無視したドラフト
ペアを無視して、好きな生息地タイル1枚と好きな動物ディスク1枚を獲得できます。
ゲーム終了時まで残せば1勝利点
ゲーム終了時まで使わずに持っていたら、1枚1点になります。
⑤ゲームの終了
生息地タイルのストックがなくなったらゲーム終了です。
⑥得点計算
下記の4つの要素から得点計算します。
- 動物得点カード
- 生息地ごとの大きさ
- 生息地ごとの大きさを比較
- 自然トークン
動物得点カード
ゲーム準備で選んだ動物得点カード5枚に基づいて、それぞれ勝利点を獲得します。
生息地ごとの大きさ
各生息地ごとに連続して隣接したタイルの枚数を確認し、その枚数1枚につき1点を獲得します。(複数あれば最も大きいものが点数になる)
上の画像の「大草原」の得点は、最も大きいグループがタイル8枚で繋がっているので8点になります。同じように、「川・森林・山・湿地」でも得点計算します。
生息地ごとの大きさを比較
各生息地ごとに1番大きいグループを持つプレイヤーに下記のボーナス点が入ります。
- 2人プレイ…2勝利点
- 3~4人プレイ…3勝利点(2番目の人は1点)
自然トークン
自然トークン1枚につき1点獲得します。
以上の4つの要素から得点計算して、最も点数が高いプレイヤーの勝利です。
カスカディアの『レビュー』
2021年に発売して、2022年3月には世界最大のボードゲームサイトBGGで100位以内に入り、アブストラクト部門ではアズールを抜いて1位になるという快挙を達成したカスカディア。
実際に遊んでみると、普段ボードゲームを遊んだことがない人とも遊びやすいゲームの筆頭みたいな印象で、めちゃくちゃ安定感のあるゲームでした。
日本語版発売元のケンビルさんが「日本でも絶対に定番化させてみせる」とツイートしていましたが、まさに新定番になりうるボードゲームだと思います。
これまで2人プレイを3回したので、最後にカスカディアを遊んでみて感じたことをレビューします。
目的がシンプルでインストも簡単!
カスカディアで考えるのは「地形を長くつなげる」&「動物で高得点を狙う」の2つだけで、やることは最良のペアを選ぶだけです。
ゲームの目的とやることがシンプルで、タイルも直感的に分かるようにデザインされているので、インストがめちゃくちゃ楽でした。中量級ゲームの中では圧倒的に説明しやすい部類だと思います。
程よいジレンマと配置の自由度
ドラフト部分については、生息地と動物がセットになっているので、常に「森林が欲しいけど、あっちのクマも欲しい」というような程よいジレンマがあります。ただ、ジレンマに悩まされるばかりでなく、たまに自然トークンを消費して自由な組み合わせで取れることもあるので、これがいい緩急になっていて心地いいプレイ感でした。
タイル配置については、どこにくっつけてもOK&四方八方に伸ばせるので、配置制限がかなり緩め。窮屈さがなくてのびのびと配置していけるので、誰でも遊びやすいような作りになっています。
一部に固執して全体を意識するのが難しい!
これまでカスカディアを妻と3回プレイしましたが、なんと3回とも敗北…。(点数は88対85、95対90、98対88)
僕の敗因分析はこちら。
カスカディアをプレイ。
— はとまめ@ぼくとボドゲ (@boku_bodo) April 27, 2022
「サケ、サケ!」「森林、森林!」みたいに一部の動物や地形にロックオンしすぎてて、全体で得点を伸ばせてない気がする…😅
絶対もっとうまくできるはず!面白い!次こそは!
先日ツイートしたように、自分はすぐに1~2つの動物&地形に固執しすぎて、他の動物や地形の意識が低くなって負けてしまいます。ゲーム終盤になって「大草原も湿地も全然繋がってない!」みたいな…(笑)
臨機応変に最適なペアを選ぶのがコツというのは分かるんだけど、それが難しい!次こそは、もっと全体を考えてプレイして勝ちたいと思います。
ちなみに、カスカディアは負けても全然嫌な気分になりません。というのは、得点計算が複雑なので、ゲーム中は勝ってるのか負けてるのか分からないからです。僕は3敗してますが、3戦とも得点が出るまでは勝った気でいました。最後の最後まで勝敗が分からないので、ゲーム全体を通して敗北感を感じづらいのだと思います。家族で遊ぶ時も、子供が負けを悟って諦めるということがなさそうです。
インタラクションは弱め
カスカディアでは、ドラフト要素があるもののインタラクションは弱めです。
自分が欲しいタイルを相手に取られたら「うわーそれ欲しかったのに…」とは思うものの、タイル配置の自由度が高いので、そこまでのダメージはありません。以前にレビューした有名なタイル配置ボードゲーム『アズール(AZUL)』のように妨害し合ってマイナス点を押し付け合う感じとは対照的です。
あと、プレイ中は、自分の手元に視線が釘付けで、相手の状況を見る余裕がほとんどないです(まだ慣れてないせいもあるかもですが)。手番が終わっても、自分の配置状況と場を見ながら次は何を取ろうか考えてしまいます。
そのため、相手の盤面をジロジロ見て妨害を考えるタイプではなく、自分の手元に集中して得点を伸ばすタイプです。ソロ感が強い部類なので、人によっては物足りなさを感じるかもしれません。
アズールとの比較
BGGのスレッドで「カスカディアとアズールのどっちを購入しますか?」という趣旨のスレッドが盛り上がっていました。そこまで似ているゲームとは思いませんが、BGGのランキングで同じタイル配置系の『アズール』を抜いたことで比較されているのかもしれません。
先ほども少しアズールのことに触れましたが、個人的にざっくり違いを比較してみました。
カスカディア | アズール | |
---|---|---|
インスト | 簡単 | やや難しい |
準備 | 楽 | やや面倒 |
プレイ感 | おだやか | バチバチ |
おすすめ | カジュアル向け | ゲーマー向け |
カスカディアは、ルール説明や準備が楽で、誰でも遊びやすいおだやかなプレイ感なので、僕の中では普段ボードゲームを遊ばない人と遊びたいゲームです。友達夫婦が家に遊びにきた時や、年末に帰省した時に弟夫婦と一緒に遊びたい感じ。ボードゲームの普及用にぴったりです。
アズールはちょっと癖のあるルールなので、正直ボードゲーム初心者とは遊びづらいと思っています。ただ、マイナス点を押し付け合うバチバチの殴り合いが魅力なので、これはたまに妻と遊びたいゲーム。僕の中ではこんな感じで遊ぶシーンが分かれそうです。
まとめ:カスカディアの個人的評価
最後に、カスカディアの個人的評価と良かった点/微妙だった点をまとめました。
ボードゲーム評価
おすすめ度 | (5.0) |
簡単さ | (3.5) |
盛り上がり度 | (1.5) |
考える要素 | (5.0) |
運要素 | (4.0) |
良かった点 | 微妙だった点 |
---|---|
2つのパズルが同時に楽しめる インストが楽ちん 配置制限が緩めなので、誰でも遊びやすい 毎回得点ルールが変えられるのでリプレイ性が高い 得点計算するまで勝敗が分からない 2人で30分くらいのプレイ時間 | インタラクション弱めなので、人によっては物足りなさを感じるかも。 盛り上がりには欠ける |
カスカディアはそこまで目新しさを感じないけど、すごく安定感のあるボードゲームです。個人的には、超定番のタイル配置ゲームの『カルカソンヌ』よりも好きです。特にボードゲーム初心者やファミリーで遊びやすいゲームなので、今年のSDJ(ドイツ年間ゲーム大賞)にノミネートされるのではないでしょうか。(←【追記】見事大賞を受賞しました!)
どんなシーンでもオールマイティーに遊べそうなので、いつまでも手放さないボードゲームのひとつになりそうです!
また、カスカディアのほかにも面白いボードゲームはたくさんあります。僕のおすすめのボードゲームについては『ボードゲームのおすすめランキング』で詳しく紹介しているので、興味がある方はこちらもチェックしてみてください。
▼カスカディア 日本語版
▼カスカディアに合うスリーブ
カスカディアに合う『スリーブ』
カスカディアのカードサイズは「120×70㎜」なので、『ホビーベース タロットサイズスリーブ ハード(123×72㎜)』がぴったりです。
カスカディアにはカードが21枚入っているので、ホビーベース タロットサイズスリーブ ハードが1セットあればOKです。
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