
【徹底レビュー】『アズール:サマーパビリオン』夏の建造物を作る第3弾!

アズールは「ドイツ年間ゲーム大賞2018」で大賞を受賞した人気ボードゲームで、そのシリーズの第3弾『アズール:サマーパビリオン(azul:summer pavillion)』の日本語版が2020年3月に発売しました。
個人的には、アズールシリーズの中でも特にボードゲーム初心者におすすめできる作品だと思います!
今回は『アズール:サマーパビリオン』のルール&レビューを紹介します。
▼アズールサマーパビリオン
▼アズールサマーパビリオン グレイズ拡張セット


商品名 | アズール サマーパビリオン |
プレイ人数 | 2~4人 |
プレイ時間 | 30~45分 |
対象年齢 | 10歳~ |
ジャンル | タイル配置 |
発売時期 | 2019年 |
デザイナー | Michael Kiesling |
版元 | Next Move Games |
日本語版販売 | ホビージャパン |
価格 | 6,160円(税込) |
目次
アズールサマーパビリオンはどんなゲーム?
サマーパビリオンのストーリー
実はアズールシリーズは、3作目のサマーパビリオンまでストーリーがちゃんと繋がっています。


ポルトガル王のマヌエル1世は『エヴォラ宮殿(1作目)』を完成させ、さらに『シントラ宮殿(2作目)』を完成させた後、王室の最も有名なメンバーを称えるために『夏のパビリオン』の建設を職人に依頼しました。
というのが、今回のストーリーです。
ただ、残念なことに、マヌエル1世はパビリオンの建設が始まる前に亡くなっているそうです…。(豆知識)
アズールサマーパビリオンはこんなゲーム!
アズール サマーパビリオンは、アズール同様に「タイルの獲得」「タイルの配置」を繰り返しますが、「好きな色として使えるワイルドカラータイル」や「特定の配置によるボーナスタイルの獲得」などこれまでになかった新しい要素も加わっています。


印象としては、本家アズールを「ガチ寄り」とするなら、サマーパビリオンは「カジュアル寄り」です。他プレイヤーからの妨害を受けづらくなっています。そのため、アズールほど相手のボードを気にすることがなく、自分のボードとにらめっこして「どう得点を伸ばすか」に集中しやすいので、遊び心地は快適です!
ボードゲーム初心者ならまずはアズールよりもサマーパビリオンから入るのがおすすめです。


アズールサマーパビリオンの『内容物』
アズール:サマーパビリオンに入っているものを紹介します。
こちらがサマーパビリオンの内容物です。


タワー / 個人ボード4枚 / スコアボード / 丸皿9枚 / スタートプレイヤーマーカー / 80点トークン / ラウンドマーカー / スコアマーカー / アズールバック / タイル132個
アズールではタイルが「四角」でしたが、サマーパビリオンのタイルは「ひし形」になっています!


全部で6色あります。
そして、これが今回の「個人ボード」。


7つの星形エリアがあり、各エリアは6つのマスで構成されています。
そして、捨てたタイルを入れておくタワーもあります。


捨てたタイルが見えないようにしておくための目隠しです。
アズールサマーパビリオンの『準備』
全てのタイルが入ったアズールバッグから、丸皿にタイルを4個ずつ置きます。


さらに、プレイヤー共通の「スコアボード」に10個のタイルを配置します。


また、スコアボードの外周は得点トラックになっているので、ここに各プレイヤーのコマを置いておきます。


最初は「5点」からスタートし、点数を獲得したらコマを動かします。
アズールサマーパビリオンの『ルール』
アズール:サマーパビリオンでは、「①タイルの獲得」「②タイルの配置」とフェイズが分かれており、①が全て終わってから②に進みます。


「①タイルの獲得」「②タイルの配置」を1ラウンドとして、6ラウンド繰り返します。
①タイルの獲得


まずは「タイルの獲得」からです。
「1つの丸皿」か「場の中央」のどちらかから1色全てのタイルを獲得できます。アズールを遊んだことがある人ならお馴染みですね。
A. 「1つの皿」から獲得する
1つの丸皿を選び、そのお皿にある1色全てのタイルを獲得できます。


その他のタイルは、場の中央に移します。
B. 「場の中央」から獲得する
場の中央にあるタイルから、1色全てのタイルを獲得できます。


そのラウンドで最初に場の中央から獲得したプレイヤーは「スタートプレイヤータイル」も一緒に獲得して、次のラウンドのスタートプレイヤーになります。
【重要】「ワイルドカラータイル」がある場合
第1ラウンド~第6ラウンドには、好きな色の代わりとして使える「ワイルドカラー」が割り当てられています。


上に描かれているように、第1ラウンドなら「紫」、第2ラウンドなら「緑」がワイルドカラーになります。
タイルの獲得時に、自分が選んだタイル以外にワイルドカラータイルがあれば1個だけ追加で獲得できます。


ワイルドカラーが2個あったとしても、一緒に獲得できるのは1個だけです。
基本的にワイルドカラーのみを獲得することはできませんが、丸皿(場の中央)にワイルドカラーしかない場合は、ワイルドカラーを1個だけ取ることができます。
獲得したタイルは手元に置いておく
獲得したタイルは手元に置いておきます。


丸皿と場の中央から全てのタイルがなくなったら、「①タイルの獲得」フェイズの終了です。
②タイルの配置


獲得したタイルを個人ボードに配置します。
「マスの色」はそこに置けるタイルの色を示しており、「書かれている数字」はそこに置くために必要なタイル数を表しています。


例えば、緑タイルを5つ持っている場合。
緑タイル5個を消費して、「緑の5」のマスにタイルを1個配置できます。(残りの4個のタイルは捨てます)


また、最初に緑タイル2個を使って「緑の2」のマスに配置して、次に緑タイル3個を使って「緑の3」のマスに配置するというのもOKです。


ワイルドカラータイルは「どの色の代わりにもなる」便利なタイルです。
第1ラウンドのワイルドカラーは「紫」なので、紫タイル1個と緑タイル5個を消費して、「緑の6」のマスに置くこともできます。


中央のエリアには「全て違う色」にする
中央の星形エリアには、好きなマスに好きな色を置けますが、6か所全てが違う色になるように配置しなければなりません。


タイルを配置したら点数ゲット
タイルを置くと「1点」入ります。


このとき、マスの数字に関係なく1点です。(緑の6に置いても1点)
ただし、他のタイルと繋がっていれば、繋がったタイル数分の点数を獲得できます。


上のように、3枚のタイルが繋がれば「3点」が入ります。
そのため、タイルを置く時は、バラバラに置くのではなく繋がるように置いていくことで点数が伸びていきます。
特定の配置になれば「ボーナスタイル」を獲得できる!!
個人ボードに描かれている「石柱」「彫像」「窓」を囲うようにタイルを配置すれば、「追加のボーナスタイル」を獲得できます。


獲得できるボーナスタイルの数は以下の通り。
- 石柱 ⇒1個のボーナスタイルを獲得
- 彫像 ⇒2個のボーナスタイルを獲得
- 窓 ⇒3個のボーナスタイルを獲得
ボーナスタイルを獲得する時は、スコアボードにある10個のタイルから好きなタイルを獲得することができます。


ボーナスタイルを獲得したら、スコアボード上のタイルを補充します。
4個のタイルを次のラウンドに持ち越せる!
「これ以上タイルを配置できない・したくない」という場合は、タイル配置を「パス」します。
パスした時に、手元のタイルを4個までストックして、次のラウンドに持ち越すことができます。(個人ボードの四隅にストックします)


それ以外の残ったタイルは全て捨てることになりますが、「残ったタイル1個につきマイナス1点」となります。
全員がパスしたら、次のラウンドの準備をします。
③次のラウンドの準備
ラウンドコマを、次のラウンドの所に動かします。


2ラウンド目なら、ワイルドカラーが「緑」になる
新たに、丸皿にタイルを4個ずつ配置していきます。また、先ほどストックしたタイルがあれば、それを手元に移動させます。
④「6ラウンド」でゲーム終了
6ラウンドが終わったら、ゲーム終了です。
2種類の「得点ボーナス」
星形エリアを全て埋めていたら「12~20点」のボーナス点が入ります。(点数は色で異なる)


また、1種類の数字マスを全7か所埋めたら、ボーナス点が入ります。「1~4」の数字マスを1種類全て埋めることで、「4~16点」のボーナス点が入ります。


上のように、「1を全て埋めたら4点」「2を全て埋めたら8点」とスコアボードに書いてあります。
残ったタイルは「マイナス1点」
また、最後に残ったタイル1個につきマイナス1点となります。
最も点数が高い人の勝利


ボーナス点・マイナス点を含めて合計し、最も点数の高かった人が勝者となります。
アズールサマーパビリオンの『エラッタ』
アズールサマーパビリオンの説明書には、エラッタ箇所があります。
間違っているのは、ルールブックP5の得点の例Aの箇所です。
- 【誤】青の星形の「6」のスペースに1枚を配置し、残り6枚をタワーへ廃棄した。
- 【正】青の星形の「6」のスペースに1枚を配置し、残り5枚をタワーへ廃棄した。
致命的な間違いではありませんが、公式でエラッタ情報がなかったので記載しておきます。
拡張版『グレイズ拡張セット』が登場
2021年7月に、拡張版として『アズールサマーパビリオン グレイズ拡張セット』の日本語版が発売されました。
『アズール:サマーパビリオン グレイズ拡張セット』はサンプル到着しているのでお見せします。内容は新しいプレイヤーボードと得点ボード(噴水のルールが買ったり、ワイルドの順番などが変わります)、タイルと得点コマがずれなくなるボードカバーとなっています。#BoardgameJP pic.twitter.com/gfuaFzMG08
— ホビージャパン・ゲームツィート (@HobbyJAPAN_GAME) July 8, 2021
入っているのは、『ボードカバー』と新しい『プレイヤーボード&得点ボード』。
ボードカバーは、プレイヤーボードと得点ボードに被せることでタイルなどがきっちりはめ込めるようになります。
プレイヤーボードには石柱・彫像・窓のほかに「噴水」が追加されていて、得点ボードも新しくなっています。


アズールシリーズは全5作品
アズールはその人気からシリーズ化していて、現在では第4弾まで登場しています。
![]() ![]() | 【第1弾】 アズール |
![]() ![]() | 【第1弾の限定エディション】 アズール:マスターショコラティエ (※基本ルールは同じ) |
![]() ![]() | 【第2弾】 アズール:シントラのステンドグラス |
![]() ![]() | 【第3弾】 アズール:サマーパビリオン |
![]() ![]() | 【第4弾】 アズール:王妃の庭園 |
第1弾では宮殿の壁の装飾、第2弾では王宮の窓の装飾、第3弾ではサマーパビリオンの建設、第4弾では庭園の建造という内容になっています。いずれも、第1弾のアズールがなくても遊べます。



第1弾、第4弾のレビューも書いているので、気になる方はチェックしてみてください!
アズールサマーパビリオンの『レビュー』
最後に、アズール:サマーパビリオンのボードゲームレビューです。
アズールが「カジュアル」になった!


アズール:サマーパビリオンは、とても優しくなったアズールです。
以前のアズールのレビュー記事に書いた通り、アズールは「相手に失点を押し付けて妨害する」というシビアさがありましたが、サマーパビリオンでは「タイルが配置しやすい」「タイルを4つまで持ち越せる」などと色々な部分がソフトになっていて、妨害しづらくなりました。
そのため、相手のボードに目を光らせていたアズールよりも、自分のボードとにらめっこして「どう得点を伸ばすか」に集中しやすいので、遊び心地は快適です!
また、タイルの配置も「ワイルドカラー」や「ボーナスタイル」を使うことで狙い通りに配置しやすいのが楽しさに繋がっている気がします。


その一方で、「星形エリアを優先するのか」「ボーナスタイルを狙いにいくか」という悩ましいジレンマがあって、配置フェイズには何回も手が止まってしまいました。方針が決まらずにふらふらしていると得点が伸びなかったので、最初に何を優先するかをハッキリさせておくと良さそうです。
まとめ:アズールよりも遊びやすくて好き!


「マイルドになった」「優しい」などと聞いていましたが、まさにその通りで「邪魔されずに快適に遊べるようになったアズール」です。
アズールも好きですが、個人的には苦しさやストレスがなくなって遊びやすくなったアズール:サマーパビリオンの方が好きです。「アズールをまだプレイしたことがない人」や「ボードゲームを始めたての人」はサマーパビリオンから遊ぶのが良いと思います!
アズール サマーパビリオン
【第1弾】アズール
【限定エディション】アズールマスターショコラティエ
【第2弾】アズール シントラのステンドグラス


【第4弾】アズール 王妃の庭園
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