ボルカルスを徹底紹介!1対多数で戦う怪獣災害ボードゲーム
『ボルカルス』は、アークライトとドロッセルマイヤーズが手を組んだ「カイジュウ・オン・ジ・アース」シリーズの第1作目で、怪獣vs人間チームで戦うボードゲームです。
ボルカルスのデザイナーは「ダンジョンオブマンダムⅧ」や「ペーパーテイルズ」を手掛けた上杉真人氏。
先日、第1作目となる『ボルカルス(Vulcanus)』の先行体験会に行ってきました!
今回は、怪獣災害ボードゲーム『ボルカルス(Vulcanus)』のルール&レビューを紹介します。
▼Kaiju on the earth『ボルカルス』
▼ボルカルスに合うスリーブ
商品名 | ボルカルス |
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プレイ人数 | 2-4人 |
プレイ時間 | 60-80分 |
対象年齢 | 10歳~ |
ジャンル | 戦略系 |
発売時期 | 2019年12月 |
デザイナー | 上杉 真人 |
販売元 | アークライトゲームズ ドロッセルマイヤーズ |
関連記事 | アークライトゲームズの公式ページ |
▼Kaiju on the earth『レヴィアス』
ボルカルスはどんなボードゲーム?
ボルカルスは「東京に現れた怪獣”ボルカルス”と人間が戦う」という災害戦略ボードゲーム。「怪獣役1人」vs「人間チーム1~3人」で対戦します。
怪獣ボルカルスは溶岩を垂れ流しながら、東京中を暴れ回ります!
人間チームは、消防隊で消火したり、自衛隊で市民を非難させたりと大忙し!
怪獣は「東京の被害を大きくすること」、人間チームは「東京を防衛をすること」を目指します。
怪獣も人間もどんどん強くなる!
怪獣ボルカルスは最初『幼体』からスタートしますが、ゲームが進むとどんどん進化して、最終的には『完全体』になることができます。
1段階進化する度に、ボルカルスのアクションが強化されていきます。完全体にまでなると、東京中を溶岩の海に変えてしまうでしょう。
ただ、人間も負けていません。怪獣の調査・研究を進めることで、強力な武器を開発して『直接攻撃』ができるようになります。
人間チームの相談は怪獣に筒抜け!!
ボルカルスで面白いと思ったのは「人間チームの相談を怪獣役も聞いている」ところ!
人間チームは相談しながらそれぞれのアクションを計画しますが、この相談は怪獣も聞いています。つまり、計画は筒抜け!
怪獣は人間チームの会話を聞いたうえで自分のアクションを計画できるので、人間チームの作戦を回避して台無しにすることもできます。
そのため、人間チームは相談通り素直にプレイすると怪獣の好きなようにやられてしまうかもしれないので「怪獣が聞いている状態でどこまで情報を出すのか」「あえてウソの情報を流して怪獣を騙すか」なども考えどころです。
ボルカルスの『準備』
マップボードの準備
戦場となる「マップボード」をセッティングしたのがこちら。
マップの各地域には、市民・消防隊・拠点・溶岩などのコマを置きます。
「人間チーム」は役職選びから
人間チームはまず「役職選び」から。
役職は「内閣官房長官」「統合幕僚長」「消防総監」「研究総務官」の4つから選びます。
人間チームは最大3人なので、役職が1つ余ります。
自分の役職が決まったら、「サマリーシート」と「対応する山札」を受け取ります。
また、人間チームが共通で使う「人間ボード」を中央に置きます。
このボードでは「お金」や「調査状況」などを管理します。
「怪獣役」は怪獣ボードを用意
怪獣ボルカルス役は、怪獣ボードを手元に置き、「溶岩コマ」と「山札」をセットします。
さらに、『ボーナスカード』4枚を引いて、人間チームに見えないように3枚を選びます。
選んだボーナスカードの地域にたくさんの溶岩を置くことができれば、ボーナス点になります。
ボルカルスの『ルール』
ここからはボルカルスのルール・遊び方を紹介します。
今回は「怪獣ボルカルス役1人vs人間チーム3人」で遊ぶ場合を例にしています。
ゲームの流れ
ゲームは最大6ラウンドあり、1つのラウンドは『5つのフェイズ』で構成されています。
①イベントフェイズ
最初に「怪獣ボルカルスの影響で、特定の地域に被害が発生する」というイベントがあります!
一つ目の「イベントカード」をオープン。
すると、特定のマスに2つの溶岩が発生!!
このように、毎回ラウンドの初めに溶岩が増えていきます!
②計画フェイズ
計画フェイズは「A.人間チーム」⇒「B.怪獣」の順に行います。
使うのはこの計画ボード。
カードを置くところが9か所あり、『左右の列は人間チーム用(A~C)』、『中央の列は怪獣用(怪獣マーク)』です。
A.『人間』の計画フェイズ
まずは、人間チームから計画を立てます。
人間チームは山札から4枚カードを引いて、仲間と相談しながら、それぞれカード2枚を選んでボード上に「裏向き」でセットします。制限時間は2分です。
人間チームはお互いにカードを見せ合うことはできませんが、相談するのは自由です。ただ、怪獣も人間チームの会話を聞いていることに注意しましょう!
ボード上でカードを置けるところは「上段・中段・下段」に分かれていて、1人が同じ段に2枚置かなければなりません。
次の実行フェイズで上段から順にプレイするので、先に行動したい人は上段に置くようにします。
B.『怪獣』の計画フェイズ
次に、怪獣ボルカルスがカードを選択する番です。
山札からカードを6枚引いて、2分以内にカードを裏向きで3枚セットします。
怪獣は、計画ボードの上・中・下段に1枚ずつ置きます。
人間チームが喋っていた作戦を参考にして、カードを選びましょう。
③実行フェイズ
実行フェイズでは、セットしたカードを1枚ずつオープンにして、そのアクションを実行していきます。
カードをオープンにする順番がこちら。
上の通り、「上段の左から右」「中断の左から右」「下段の左から右」という順です。
1番目のアクション
まずは、上段左側の1番目のカードをオープンすると、「市民の移動」。
怪獣と同じマスに市民がいると、怪獣に踏みつぶされて全滅してしまうかもしれません!
このままでは危険なので、市民を左右のマスに1つずつ逃がします。
2番目のアクション
次に、2番目の怪獣カードをめくると、「歩く」。
人間チームの作戦会議を聞いて市民を逃がすことは分かっていたので「踏みつぶす」ことはせずに「歩く」を選択。
「渋谷」に溶岩を1つ置き、市民の多い「原宿」へ移動します。
3番目のアクション
3番目のカードをオープンすると、「消防隊の移動」。
消防隊を2マス移動させて、溶岩が2つある「市ヶ谷」へ。
4番目のアクション
さらに、4番目のカードをめくると、「消火活動」。
2金を支払って溶岩を取り除きます。
取り除いた溶岩は、人間チームのスコアを管理する「防衛トラック」に置きます。
この「防衛トラック」は人間チームのスコアで、このトラックを全て埋めることを目指します。
5番目のアクション
そして、5番目のカードは怪獣の「踏みつぶす」。
怪獣ボルカルスがいるマスの市民が全滅して、さらに死亡した数分の溶岩が配置されます。
3つあった市民コマは死亡して、そこに3つの溶岩が配置されます。
死亡した市民は、怪獣のスコアを管理する「被害トラック」に置きます。
この「被害トラック」は怪獣のスコアで、怪獣はこのトラックを全て埋めることを目指します。
このように、順番にカードをめくっていき、カード9枚のアクションが全て終わったら、実行フェイズ終了です。
④溶岩フェイズ
『溶岩フェイズ』では、市民が溶岩の犠牲になり、被害が拡大します。怪獣が追加点を獲得するフェイズです。
溶岩で市民が死亡
「溶岩」と「市民」が同じマスにある場合、溶岩1つにつき市民1つが死亡します。死亡した市民は被害トラックに移動させます。
炎上地域
溶岩が3つ以上置かれたマスは、被害の大きい「炎上地域」です。
炎上地域の数だけ被害トラックに新たな溶岩を配置します。
⑤拠点フェイズ
『拠点フェイズ』では人間チームのチャンスタイム。
市民の避難
「拠点(青いコマ)」と「市民」が同じマスにあれば、拠点1つにつき市民を1つ避難させることができます。避難した市民コマは防衛トラックに置きます。
調査
拠点があるマスの周辺にある調査タイルを1つ獲得できます。
調査タイルに書いてある数字の分だけ、調査トラックを進めます。
ラウンドの終了
ここまで終わったら、ラウンド終了です。
次のラウンドの「①イベントフェイズ」に移ります。
怪獣も人間もどんどん強くなる!!
怪獣は進化する
怪獣は溶岩コマがたくさん配置されるほど、進化していきます。
最初は幼体ですが、「幼体⇒亜成体⇒第一成体⇒第二成体⇒第三成体⇒完全体」と次第に強くなっていきます。
1段階進化する度に、1種類のカードを強化できます。
例えば、「歩く」というカードを強化すると、カード下段に書いてある「追加で1マス移動できる」という追加効果が発動します。
カードを強化できるのは最大4回なので、どのカードを強化するのかというのも悩みどころ!
人間は調査を進めることで強くなる
人間は調査トラックを進めることで強くなっていきます。
調査が進めば、ボルカルスと同じように、カードが強化されます。
例えば、下の「消防隊の移動」カードの場合、「追加で1マス移動できる」という追加効果が発動します。
また、さらに調査が進めば「特殊冷凍弾」を使って怪獣を直接攻撃できるようにもなります!
ゲームの終了
ゲームの終了は以下の3パターンです。
①防衛トラックが埋まったら『人間勝利』
②被害トラックが埋まったら『怪獣勝利』
被害トラックが全て埋まったら、怪獣ボルカルスの勝利です。
③6ラウンド目が終了する
防衛トラック・被害トラックの空きマスの数を比べて、少ない方が勝利します。
ボルカルスの『レビュー』
最後は、ボルカルス(Vulcanus)のボードゲームレビューです。
ボルカルスが強い!!!
怪獣ボルカルス、めちゃくちゃ強いです!
自分はボルカルス役をやりましたが、適当に「溶岩を増やす・動かす」をやっているだけでかなりの凶悪っぷりでした。また、たくさんの市民がいるところに「地中移動」で一気に動いてからの市民をまとめて「踏みつぶす」はすごく気持ちいい!ボルカルス役は孤独かと思いましたが、アクションにパワーがあって楽しかったです。
実際ボルカルスの強さは結果にも表れていて、先行体験会では6~7卓ありましたが、人間側が勝利したのは1卓だけでした!
人間側で怪獣に勝つには”慣れ”が必要そうです。
ゲーム終了後に、ドロッセルマイヤーズの渡辺さん(ボルカルスのディレクター)が、溶岩で埋め尽くされたマップを見て「序盤から溶岩を消していくのも大事だよ」と教えてくださいました。何度かプレイしてこういった序盤の定石を押さえていくことで怪獣といい感じに戦えそうです。最初からヒリヒリとした接戦に持ち込みたい人は、説明書の最後に「ゲームのコツ」がまとめられているので、ここで序盤の動き方だけでも知っておくといいと思います。
ちなみに、怪獣寄りのゲームバランスは意図したもので、怪獣がもつ「圧倒的に強いイメージ」を大切にしたいという思いからなのだそうです。
「時間制限2分」が良い感じ!
人間チームは相談できますが、その時間はたったの2分!
議論する時間としてはとても短いので、すぐに「ヤバい!時間ない!」「とりあえず市民逃がすわ、消火頼んだ!」「えっ、消火持ってないって!」みたいなわちゃわちゃした感じになりやすいので、怪獣側で聞いていても面白いです。まさに、怪獣出現で混乱する組織上層部!笑
この短い時間制限があるので、チームで最善手を打つことは難しいですが、ミスをしても良い具合に噛み合って好プレイになったりすることもあって、そんな時はとても盛り上がります!
「人間の作戦が筒抜け」に真の面白さがありそう!
自分がこのゲームに慣れたら、怪獣に作戦が筒抜けなことを逆手にとって「ウソの発言をして怪獣を騙す」というプレイもやってみたい!
怪獣側は一度騙されると「今の発言はウソなのか本当なのか…」という迷いが生まれるので、この読み合いにまで発展するとさらに面白くなりそうです。
最後に:ボルカルスは12月12日発売予定
以上、連作ボードゲーム第1弾『ボルカルス(Vulcanus)』のルール&レビューでした。
次は、人間側でプレイして、強大な敵を倒して達成感を味わってみたいです!
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
▼ボルカルス
また、ボルカルスのほかにも面白いボードゲームはたくさんあります。僕のおすすめのボードゲームについては『ボードゲームのおすすめランキング』で詳しく紹介しているので、興味がある方はこちらもチェックしてみてください。
ボルカルスの『スリーブ』
ボルカルスのカードサイズは「63mm×88mm」なので、スリーブをつけるなら「ホビーベース TCGサイズ・ハード」スリーブがちょうどいい大きさです。
ボルカルスにはカードが62枚入っているので、この50枚入りスリーブが「2袋」あれば足ります。
Kaiju on the Earthの『シリーズ作品』
ボルカルスの他にも「Kaiju on the Earthシリーズ」の作品を紹介します。
第2弾は海の怪獣『レヴィアス』
Kaiju on the Earthシリーズの第2弾は、海の怪獣『レヴィアス(Leviath)』です。
レヴィアスは、津波を引き起こす海の怪獣「レヴィアス」と「海上自衛隊」との戦いをテーマにした心理戦ゲームです。
Kaiju on the Earthシリーズの第2弾は、
プレイ時間は30~60分。ボルカルスは60分越えとちょっと重めでしたが、レヴィアスはより遊びやすいプレイ時間になっています。
詳しいレビューは別記事の『レヴィアスのルール&レビュー』で紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
第3弾は『植物の怪獣』
Kaiju on the Earthシリーズ第2弾のレヴィアスに続く、第3弾は植物怪獣の「ユグドラサス」です!
【日刊KOE3情報②】Kaiju on the Earthの主役といえば…もちろん怪獣!
第三弾は「植物」の怪獣です!!
しかしこの外観はまるでツボミの様。ということは…?
怪獣デザインは今作初参加の新鋭、松本智明@matsutomo_kaiju さん!
ボルカルス&レヴィアスの中北晃二@bing_chang さん原案です。#KOE3 pic.twitter.com/SozODmPQTb
— ドロッセルマイヤーズ (@Drosselmeyers_) October 27, 2020
プレイヤー達は各国のリーダーとなり、世界中に繁殖した植物怪獣と戦います。
そして、これまでは「怪獣vs人間チーム」という1対多数の構図でしたが、第三弾からは、協力要素なしの完全な「対決ゲーム」になります。