イーオンズエンドを徹底紹介!シャッフル禁止のデッキ構築ゲーム
イーオンズ・エンド(Aeon’s End)は、「デッキをシャッフルしない」というのが特徴の協力型デッキ構築ボードゲームです。プレイヤーは魔法使いとなって協力して、敵であるネメシスを倒すことを目指します。
原版は2016年に発売され、日本語版は2020年5月にアークライトから発売されました。海外では『イーオンズ・エンド:ウォーエターナル』など多くの拡張版も発売されています。
今回は、ボードゲーム『イーオンズエンド(Aeon’s End)』のルール&レビューを紹介します。
▼イーオンズエンド
商品名 | イーオンズ・エンド |
---|---|
プレイ人数 | 1-4人 |
プレイ時間 | 60分 |
対象年齢 | 14歳~ |
ジャンル | デッキ構築・協力 |
発売時期 | 2016年 |
デザイナー | ケヴィン・ライリー(Kevin Riley) |
販売元 | アークライトゲームズ |
関連ページ | アークライトゲームズの公式ページ BoardGameGeek |
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イーオンズ・エンドはどんなボードゲーム?
イーオンズ・エンド(Aeon’s End)では、プレイヤーが魔術師となってみんなで協力して、敵であるネメシスを倒すことを目指します。
ゲーム内容は「カードを購入して自分のデッキを強化していく」というスタンダードなデッキ構築ボードゲームです。
ただ、特徴的なのが「デッキをシャッフルしない」こと。デッキ構築ゲームの定番『ドミニオン』などは、デッキが尽きたら捨て札をシャッフルしてデッキを作りなおしますが、イーオンズ・エンドではデッキのシャッフルをせずにそのままひっくり返すだけです。
そのため、自分のカードを捨てる順番によって、その後のターンでの手札の組み合わせが変わってきます。例えば、コンボに必要なカードAとカードBを前後にして捨てることで、その後のターンで一緒に引いてコンボを成立させやすくすることができます。
また、カードの種類が豊富なだけでなく、選べるキャラクターやボスモンスターの種類も多いので、リプレイ性が高く、やりこみがいのあるゲームです。
イーオンズエンド情報
世界最大のボードゲームサイト『BoardGameGeek』のランキングで現在75位※に位置しており、海外でも大人気のボードゲームです(※2023年9月時点)。拡張版も豊富で、単体で遊べる3種類の「独立拡張版」や、新しい敵・キャラクター・カードを追加する「ミニ拡張」がたくさん発売されています。
プレイ人数は1~4人プレイですが、BGGでのベストプレイ人数は「2人」となっています。また、ソロゲームとしての評価も高く、BGGのユーザー投票で決まる賞『ゴールデンギーク賞2016』のソロ部門にもノミネートされています。
イーオンズ・エンドのゲームデザイナーは、STARCRAFTⅡというゲームのプロゲーマーであった、ケヴィン・ライリー(Kevin Riley)氏で、デッキ構築ゲームの定番『ドミニオン』から影響を受けてイーオンズエンドを作り上げたそうです。
▼イーオンズ・エンド
イーオンズ・エンドの『内容物』
イーオンズ・エンドの内容物がこちら。
《内容物》
プレイヤーカード:203枚 / ネメシスカード:75枚 / 登場判定カード:27枚 / 早見表カード:4枚 / ターン順カード:9枚 / プレイヤーマット:8枚 / ネメシスマット:5枚 / 破孔タイル:16枚トークン類:90個 / カード仕切り板:11枚 / 体力ダイヤル:2個
イーオンズ・エンドの『ゲーム準備』
イーオンズ・エンドのゲーム準備では、「キャラクターの準備」「ボスモンスターの準備」「サプライの準備」の3つを行います。
キャラクターの準備
8種類あるプレイヤーマットの中から好きなキャラクターを選びます。
8人のキャラクターから選ぶ
1枚選んだら、キャラクターごとに指定されたデッキ・手札や、体力トークン(10点分)、プレイヤー番号・破孔タイルをセットします。
また、プレイヤーの拠点であるグレイヴホールドの耐久力を「30」にセットします。
キャラクターだけでなく拠点も攻撃対象となり、拠点の耐久力が0になったらプレイヤーの敗北となります。
ボスモンスターの準備
ネメシスと呼ばれるボスモンスターは4種類あり、その中からネメシスマットを1枚選びます。今回はボス4体の中でも最弱(難易度2)の「レイジボーン」にします。体力ダイヤルを回して、レイジボーンのHPである70にセットします。
ちなみにボスの難易度は「1~10」まであり、この基本セットに入っているボスは「2・3・5・5」の4体です。
敵側のネメシスデッキは、下のカードほど凶悪なカードになるように作ります(3階層構成で、1階層目は弱く、3階層目は強い)。
そのため、ゲームの終盤に近づくほど、凶悪な魔物が出現したり、強力な攻撃を受けることが増えていきます。
サプライの準備
サプライは購入できるカードの集まりです(カード購入所のようなもの)。
27種類のカードの中から9種類を選んで、テーブルに並べます。
サプライのカードは3タイプあり、お金やエネルギーなどになる「宝石カード」、即時効果がある「遺物カード」、敵にダメージを与える「呪文カード」があります。サプライのカードはコストを支払うことで購入できます。
イーオンズ・エンドの『ルール』
ここからは、イーオンズエンドのルール・遊び方を紹介します。
ターン順カードを引く
イーオンズ・エンドでは、順番にプレイするのではなく、毎回「ターン順カード」を引いて、誰がプレイするのかを決めます。
例えば、下のように「1」というカードが出たら「プレイヤー1」の手番になります。
2人プレイなら「1」「2」「ネメシス(敵)」が各2枚ずつで構成された計6枚の山札になっています。そのため、「ネメシス」が連続で出て、敵が2連続で行動することもあります。
ターン順カードの山札が尽きたら、再度シャッフルして山札を作りなおします。
プレイヤーのターン
ターン順カードで「数字」が出たら、その数字のプレイヤーのターンです。
プレイヤーのターンでは、以下の3つのフェイズを順番に行います。
- 呪文フェイズ
- メインフェイズ
- 手札補充フェイズ
①呪文フェイズ
まず最初に、前のターンでセットしておいた呪文カードを使うことができます。使用した呪文は捨て山に移動します。
呪文カードをセットする場所(破孔タイル)の状態によって「使わずにとっておくことができる場合」と「必ずこのターンで使わなければならない場合」があります。
呪文カードでボスモンスターにダメージを与えたら、体力ダイヤルを回してダメージ分の数値を減らします。
②メインフェイズ
A. エーテルでカード購入する
サプライのカードを購入する時は、コスト分のエーテルを支払います。まずは、手札から「宝石カード」を出してエーテルを獲得します。
翡翠2、水晶1、水晶1で4エーテル獲得
サプライカード右上の「コスト」分だけエーテルを支払うことで、カードを購入できます。
獲得した4エーテルを消費して、群生ダイヤモンド(コスト4)を購入
購入したカードは手札に加えずに、捨て山に一番上に置きます。
B. 呪文をセットする
プレイヤーマットの上にある「破孔タイル」に呪文カードをセットすれば、次のターンの開始時に使うことができます。(出してすぐには使えません)
全面が黄色になっているタイル(開放状態)にセットした呪文は「次のターン以降ならいつでも使用可能」で、一部が黄色のタイル(閉鎖状態)にセットした呪文は「必ず次のターンに使用」しなければなりません。
また、閉鎖状態のタイルはエーテルを消費することで、開放状態にすることができます。
C. 特殊能力のチャージをする
各キャラクターには固有の特殊能力があります。特殊能力を使うためには、必要数のチャージを溜めなければなりません。
2エーテルを消費することで、チャージトークン1個を置くことができます。
チャージスペースのマス全てにトークンで満たされたら、強力な特殊能力を発動できます。能力を使用したら、全てのチャージトークンが取り除かれます。
③手札補充フェイズ
最後に手札を補充します。まず、このターン中に使ったカードを自分の捨て山に任意の順番で置くことができます。そのため、コンボになるカードを前後に配置すれば、今後のターンで一緒に引きやすくなり、コンボを成立させやすくなります。
プレイしたカードを捨て山に移動したら、手札が5枚になるまで補充します。
もし山札が尽きたら、捨て山をシャッフルせずにそのままひっくり返して、新しい山札とします。
敵モンスター(ネメシス)のターン
ターン順カードで「ネメシス」が出たら、敵モンスターのターンです。
ネメシスデッキの上から1枚引く
ネメシスのターンでは、ネメシスデッキからカード1枚を引きます。引いたカードによって、子分モンスターの「ミニオンカード」が出てきたり、即時効果のある「アタックカード」で攻撃を受けたりします。
子分モンスターの「ミニオンカード」や、ターン経過で発動する「パワーカード」は場に残り、ネメシスのターンの開始時に効果が適用されます。
キャラクターがダメージを受けたら
ネメシスの攻撃等でキャラクターにダメージが入ったら、その数値分の体力トークンを取り除きます。
体力が0になったら「疲弊状態」となって様々なデメリットを受けますが、ゲームから脱落せずに弱った状態で戦うことができます。ただし、全員が「疲弊状態」になったらプレイヤーの負けです。
また、拠点グレイヴホールドに攻撃を受けた場合は、グレイヴホールドの耐久力ダイヤルを回します。
拠点グレイヴホールドの体力が0になっても敗北です。
ゲームの終了
ゲームの終了条件は以下の通りです。
プレイヤーの勝利条件
- ボスモンスター(ネメシス)の大量が0になる
- リスネメシスデッキが尽きて、ネメシスの場にもカードが残っていない
プレイヤーの敗北条件
- 全てのプレイヤーが疲弊状態(体力0)になる
- 拠点グレイヴホールドの耐久力が0になる
- ネメシスマットに記された終了条件を満たしてしまう
イーオンズエンドの『難易度調整』
イーオンズエンドでは、ゲームの難易度を簡単に変更することができます。
難易度は先ほどルール紹介した「通常モード」を含めて「初心者モード・熟練者モード・自殺志願者モード」の4つがあります。
初心者モード
初心者モードでは、味方の体力・耐久値がアップし、敵の体力がダウンします。
- キャラクターの初期体力を「12」に増やす
- 拠点の初期耐久力を「35」に増やす
- ボスモンスターの初期体力を「-10」する
熟練者モード
熟練者モードでは、各ボスモンスター(ネメシス)に設定されている「難化ルール」を適用します。これにより、ネメシスがより凶悪になります!
自殺志願者モード
自殺志願者モードでは、先ほどの「難化ルール」に加えて、味方の体力・耐久値がダウンし、敵の体力がアップします。
- ネメシスの「難化ルール」を適用する
- キャラクターの初期体力を「8」に減らす
- 拠点の初期耐久力を「25」に減らす
- ボスモンスターの初期体力を「+10」する
イーオンズエンドの『ソロモード』
イーオンズエンドをソロで遊ぶ場合は、「1人で複数キャラを扱う」か「1キャラクターのみを扱う」の2パターンがあります。
1人で複数キャラを扱う場合は通常ルールと同じですが、1キャラのみを扱う場合は「疲弊状態」となっても敗北せず、拠点グレイヴホールドの耐久力が0になることで敗北となります。
また、1キャラで攻略するのが難しい場合は「初期体力を10ではなく、12 or 15にする」のもアリです。
イーオンズ・エンドの『レビュー』
最後は、イーオンズエンドのボードゲームレビューです。
終盤のヒートアップする展開が熱い!
最初は敵の体力の多さに「こんなデッキで大丈夫なのか…」と不安になりますが、ゲーム後半には加速度的にデッキが強くなって強力な魔法をバンバン打てるようになるので、序盤は苦しいですが終盤に一気に気持ちよくなれるゲームです!ただ、敵のデッキも下のカードほど凶悪になっているので、終盤になるにつれてお互いにヒートアップしていきます。そのため、ギリギリの戦いになりやすく、何度遊んでも最後にちゃんとしたクライマックス感を味わえるようになっているのが良いところです!
最初は2人プレイで一番弱い難易度2のボス「レイジボーン」に挑戦。ラストの局面で、相方の体力が0になり、自分も体力が残り僅かになったところで辛勝!手番順がカードで決まるので、ボスのターンが3連続続いた時はかなりの絶望感でした…。手番が決まっていないことで予想外の展開になることがあって、そのドキドキ感も面白いです!
いくつかのキャラクターを試した後、難易度3のボス「甲殻の女王」に挑戦するも、そのボス特有のゲーム終了条件を満たしてしまって敗北…。さらに、後ろには難易度5のボスが2体も控えているとは…これはめちゃくちゃ遊びごたえがありそうです!一人が攻撃担当になったり、一人がサポート担当に徹するなど、役割分担をしっかりするのが重要そう。サプライやキャラクターの組み合わせでもやりようは色々ありそうなので、かなりやりこみがいがあるゲームだと思います!
カード運に阻まれない気持ちよさ!
最初は「デッキシャッフルしないってどんな感じだ」とワクワクしてプレイしましたが、なるほどこれは快適です!
ドミニオンだと「あれとあれが引ければ…」と引き運頼りなところがあるけど、イーオンズエンドではシャッフルしないのでカードの引き運に影響されることがありません。カードAとカードBが前後になるように捨てることで、その後のターンで一緒に引けるようにできるので、計画的にコンボが作りやすくなっています。カードの引き運に阻まれることなくやりたいことを実現しやすいので、ノンストレスなプレイ感です。
待ち時間が短い!
また、よくあるデッキ構築ゲームでは「手番の途中にデッキがなくなったらその都度シャッフルする」ことがよく起こるので、待ち時間がけっこうあります。その点でもイーオンズエンドのシャッフル禁止ルールのおかげで、一回の手番にかかる時間が長くならないようになっています。
また、ドミニオンでは「カードを〇枚引く」というカード効果がよくあって、カードを引く→カードを引く→カードを引く…と連続で何回もカードを引くことがあり、その度にカードを確認してどのように出していくかを考えることになるので、一手番がかなり長くなることがあります。一方で、イーオンズエンドでは「自分のターン中に自分がカードを引く」という効果がほとんどない(1枚のみ)ので、手番が間延びしないようになっているところもGOOD!そのため、思った以上にサクサク遊べます。
まとめ:快適なデッキ構築ボードゲーム
以上が、協力型デッキ構築ボードゲーム『イーオンズ・エンド』のルール&レビューでした。
デッキシャッフルをしないことで、「狙ったことがやりやすい快適なプレイ感」と「手番が間延びしないサクサクプレイ」で、遊び心地のいいデッキ構築ゲームになっています。また、デッキ構築ゲームは経験者と初心者で差がでやすいですが、イーオンズエンドは対戦ではなく協力ゲームなので、経験者が教えながらプレイできるのも良い所です。
デメリットを挙げるとすると、セットアップの大変さ。各プレイヤーの初期手札が異なる、敵のネメシスデッキを3層に分けて作る、トークンが細かいなど、準備時間がけっこうかかります。この準備部分だけちょっとストレスでしたが、箱にしまう時にしっかりと仕分けしておくと少しスムーズになりそうなので、小袋に分けるなどして工夫してみようと思います。
最後に、リプレイ性は抜群です。「27種類のサプライカードから9枚を選ぶ、キャラクター8人やボスモンスター4体から選ぶ、4段階の難易度調整ができる」ので、何度も繰り返し楽しめます。さらに、拡張が加わったら永久に楽しめるんじゃないでしょうか。オリジナル版ではたくさんの拡張が出ているので、日本語版の拡張が出ることを超期待しています。ドミニオンが好きな方にはぜひ遊んでほしいボードゲームです。おすすめ!
▼イーオンズエンド
▼独立型拡張版:イーオンズエンド 終わりなき戦い
また、イーオンズエンドのほかにも面白いボードゲームはたくさんあります。僕のおすすめのボードゲームについては『ボードゲームのおすすめランキング』で詳しく紹介しているので、興味がある方はこちらもチェックしてみてください。
イーオンズ・エンドの『スリーブ』
最後に、イーオンズエンドのカードとプレイヤーマットに合うスリーブを紹介します。
カード用のスリーブ
イーオンズ・エンドのカードサイズは「63.5×89mm」なので、エポックの『レギュラーサイズスリーブ(66×92mm)』が対応しています。
イーオンズ・エンドのカード枚数は318枚(登場判定カード&早見表カードを除くと287枚)です。このスリーブは80枚入りスリーブなので、全てのカードに付ける場合は4袋あればOKです。
プレイヤーマット用のスリーブ
また、プレイヤーマットとネメシスマットを傷や汚れから保護したい方は、スリーブではありませんが『クリスタルパック T12-18』に入れるのがおすすめです。
クリスタルパックの先端にテープが付いているので、折って貼ることでぴったり入れることができます。