ホテル買収ボードゲーム『アクワイア』のルール&レビュー
四大古典ゲームの1つ『アクワイア』の日本語版がついに発売されました!
60年前に発売されて以来、何度も新版がリリースされ、今なおボードゲーマーから高い評価を受け続けているゲームです。
今回は、ホテルの合併吸収をテーマにしたボードゲーム『アクワイア』のルールを紹介します。
ゲーム名 | アクワイア(Acquire) |
プレイ人数 | 2~6人 |
プレイ時間 | 90分 |
対象年齢 | 12歳~ |
発売時期 | 2024年3月 |
デザイナー | Sid Sackson |
価格 | 7,150円(税込) |
関連ページ | ・アークライトゲームズ公式ページ ・BoardGameGeek |
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アクワイアはどんなボードゲーム?
アクワイアは、ホテルの合併吸収を繰り返してお金を稼ぐボードゲームです。
手番では、手持ちの建物コマ1個をゲーム盤に配置していきます。建物タイルが2個以上つながったら、ホテルが建設されて、株式が買えるようになります。
アクワイアの醍醐味は合併システムで、2つのホテルがくっついたら、大きいホテルが小さいホテルを吸収します。吸収された側のホテルの株券を持っている人は、配当金を受け取れます。この吸収合併をうまく利用して、最も多くのお金を稼いだ人の勝ちです。
株価が安い時にたくさん買っておいて、高くなったら買収させて儲けるなど、マネーゲーム感を存分に味わえます。株や投資などの経験がある大人こそハマるボードゲームです。
今回の新版では従来通りの「クラシックモード」に加えて、初めて遊ぶ人にやさしい「タイクーンモード」が追加されています。さらに、2人用ルールも収録されています。
アクワイアの歴史について
アクワイアの初版は3M社からリリースされましたが、その後に異なる出版社から何度も再販されたという歴史があります。
何度も再販されているアクワイア
アクワイアは1964年に3M社によってリリースされ、その後アバロンヒル社、そしてハズブロ社といった複数のメーカーによって再販されています。
1975年には3M社のゲーム部門がアバロンヒル社に売却され、その後1997年にアバロンヒル社がハズブロ社に買収されました。その結果、ハズブロとその子会社であるウィザーズ・オブ・ザ・コースト社によってもアクワイアが発売されています。
- 1975年…3M社がゲームの権利をアバロンヒル社に売却
- 1997年…アバロンヒル社がゲームの権利をハズブロ社に売却
- 2006年…ハズブロ社が子会社ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社にゲームの権利を譲渡
- 2023年…レネゲード・ゲーム・スタジオがハズブロ社と提携し、新バージョンをリリース。
このように、アクワイアは複数の会社で再販されることで、長年にわたって変化してきました。
これまでに、ルールの変更が行われたり、コンポーネントの素材が変化しています(プラスチック製・木製・紙製)。
アクワイアの内容物
アクワイアの内容物は以下の通り。
スクロールできます
《内容物》
本部コマ7個 / ゲーム盤 / 建物コマ108個 / 株券175枚 / 紙幣155枚 / 本部バナー11個 / 株価ボード6枚 / 早見表カード1枚
アクワイアのゲーム準備
まずは、アクワイアのゲーム準備からです。
$6,000と株価ボードを受け取る
各プレイヤーは$6,000と株価ボードを受け取ります。
モードの選択
株価ボードの表面は従来の「クラシックモード」、裏面は初心者向けの「タイクーンモード」になっています。みんなで話し合って、どちらの面で遊ぶのかを決めます。
今回のルール紹介では「クラシックモード」を使います。
クラシックモードとタイクーンモードの違いについて
両者の違いは、株主配当を受け取れる人数です。クラシックモードの場合は上位2名、タイクーンモードの場合は上位3名です。タイクーンモードだと3位でも株主配当を受け取れるので、初めて遊ぶ人にもやさしい仕様になっています。
さらに、みんなが持っている株券と紙幣をいつでも確認できる「公開モード」で遊ぶか、秘密にする「非公開モード」で遊ぶかを決めます。(アクワイアを初めて遊ぶ人がいる場合は、公開モードがおすすめ)
最初のプレイヤーを決める
建物コマを裏向きにしてシャッフルします。
各プレイヤーは建物コマを1個ずつ引いて、ゲーム盤の対応するマスに配置します。
ゲーム盤のマスは「1A~1I」から「12A~12I」まであります。
1Aに最も近いマスに配置した人が最初のプレイヤーになります。
1Aに近いとは?
1Aに近いというのは、「上段にある方が近い」「同じ段なら左にある方が近い」ということです。例えば、2Bと10Aなら、10Aの方が近いです。
建物コマを6個引く
各プレイヤーは建物コマを6個引いて、他のプレイヤーから見えないように立てて置きます。
これで、ゲーム準備完了です。
アクワイアのルール
アクワイアのルール・遊び方を紹介します。
手番の流れ
手番でやることは、以下の3ステップです。
- 建物コマ1個を配置する(強制)
- 株券を購入する(任意)
- 建物コマ1個を補充する(強制)
①建物コマ1個を配置する
手持ちの建物コマ1個を、ゲーム盤の対応するマスに配置します。
この時、建物コマが2個以上繋がったら、ホテルを建てます。
ホテルは残っているものの中から好きなものを選び、任意の建物コマの上に設置します。
ホテルを建てた人は、ボーナスとしてホテルと同じ色の株券1枚を貰えます。
緑のホテルを建てたら緑の株券を貰う
株券の価値は、株価ボードで確認できます。
先ほど建てた緑のホテルなら、建物コマ2個で株価が$300です。
さらに、建物コマが置かれて、緑ホテルの建物コマが3個になると、株券の価値が$400に上がります。
建物コマが3個分になると
価値が$400にアップ
さらに、4個つながると$500、5個つながると$600になります。ホテルが大きくなるほど株券の価値が上がっていきます。
そして、建物コマを置いたときに、2つのホテルが繋がると合併が起こります。
合併時は、一番大きいホテルに他のホテルが吸収されます。
上の場合、黄色のホテルが4個分、緑のホテルが3個分なので、黄色のホテルに緑のホテルが吸収されます。
吸収されたホテルは建物コマから取り外されて、ストックに戻されます。
これで、黄色のホテルの大きさは建物コマ8個分になり、株価が一気に上昇します。
では、吸収されたホテルの株券はどうなるのかというと…
吸収されたホテルの株券を持っている人は、ボーナスとして配当を受け取れます。
ただし、配当を受け取れるのは、株券をたくさん持っている筆頭株主(第1株主)と第2株主の2名だけです。(タイクーンモードなら3位まで)
配当の金額は、吸収されたホテルが大きいほどたくさん貰えます。
例えば、先ほど吸収された緑のホテル(建物コマ3個分)の配当額を株価ボードで確認します。
この場合は、筆頭株主は$4,000、第2株主は$2,000を貰えます。
また、吸収されたホテルの株券は、以下のいずれかの方法で処分します。株券1枚ごとに処分方法を変えても大丈夫です。
- A. 売却:現在の株価で現金に換える。
- B. 株式交換:「処分する株券2枚」と「買収を行ったホテルの株券1枚」を交換する(2:1交換)
- C. 保持:処分する株券をそのまま手元に残す。
保持する場合は、その時点で株券の価値がゼロになります。ただ、吸収されたホテルはストックに戻るので、また建てられます。その時に再びそのホテルの株券となります。
建物コマが11個以上のホテルは、他のホテルに吸収されなくなります。11個以上のホテル同士が繋がるように建物コマを置くことはできません。
吸収されるというと嫌なイメージがあるかもしれませんが、アクワイアではお金を得る唯一の手段です。株価が安い時にたくさん買っておいて、高くなったら買収されるように動くことも重要です。
②株券を購入する
建物コマを配置した後には、ゲーム盤に建っているホテルの株券を3枚まで購入できます。
購入する株券は、現在の株価の金額を支払います。
例えば、下の画像の「赤のホテルの株券」を買いたい場合。
赤のホテルの大きさは5コマ分
株価は$500
というように、赤の株券は1枚$500で購入できます。これを3枚買ってもいいですし、1枚買って他の株券を2枚買ってもOKです。
ストックに株券が残っていない場合は購入不可です。(各ホテルの株券は25枚ずつ)
③建物コマ1個を補充する
手番の最後には、建物コマ1個を引いて、手持ちの建物コマを補充します。
④ゲームの終了
プレイヤーの1人が手番中に以下のいずれかを宣言したら、ゲーム終了です。
- A. ゲーム盤にあるホテルの全てが建物コマ11個以上である
- B. ゲーム盤にあるホテルのひとつが建物コマ41個以上である
まだ終わりたくない場合は、宣言しなくてもOKです。
ゲーム終了したら、以下のように清算します。
- 各ホテルの筆頭株主&第2株主が株主配当を受け取る(合併時と同じ)
- 株券は現在の株価で現金化する
最もお金をたくさん持っているプレイヤーの勝利です。
アクワイアのレビュー
実際にアクワイアを遊んだ感想をレビューします。
先の展開を読む力が試される!
60年前に生み出されたのに、まったく古さを感じさせない洗練されたゲームでした。さすがは何度も再販されている不朽の名作です。
大事なのは、自分が株をたくさん持っているホテルを吸収させてお金を稼ぐこと。
初めてだと「買収された方がいい」という感覚が理解しづらく、自分のホテルを大きくしようとしてしまいがちですが、そうするとすぐにお金がカツカツになります…。お金がなければ株券を買えなくなるので、特に序盤は吸収されそうなホテルの株を積極的に狙っていきます。
そして、ゲーム終盤に向けては、自分のホテルを大きく育てる・巨大ホテルの株を取得していくというのも重要になります。
今後のために、どこに建物を配置するのか、どのホテルに投資するのが一番稼げそうかといった読みの部分が抜群に面白いです。自分の計画通りに安く買った株で大儲けできたときはかなり気持ちいいです。
運要素については、建物タイルの引き運の影響は大きいです。ただ、ボードの状況から手持ちのタイルをいつどこに出すか、今後を見越してどこに投資するのかというのがプレイヤーの腕の見せ所です。運もありつつ実力が物を言う、ちょうどいいバランスだと思います。
クラシックとタイクーンモードについて
クラシックモードとタイクーンモードをどちらも遊びましたが、個人的にはタイクーンの方が断然良かったです。
第2株主までしか配当がでないクラシックモードでは、序盤でミスをして資金が尽きると、ホテルの合併からお金を得るチャンスがなくなることも…。こうなってしまうと他のプレイヤーとの差が開く一方です。クラシックモードにはヒリヒリとした緊張感がありますが、初プレイの人がいきなりクラシックで遊ぶと辛い経験になる可能性があります…。
一方のタイクーンモードは、第3株主まで配当がでます。さらに、第2株主の配当金額がクラシックよりもタイクーンの方が高くなっています。こちらの方がお金に困るシーンが圧倒的に少ないですし、建物コマの引き運の差も緩和されます。従来のファンには物足りないかもしれませんが、初めて遊ぶ人は資金繰りで苦しまないタイクーンモードがおすすめです。
最後に
以上が、ホテル買収ボードゲーム『アクワイア』のルール&レビューでした。
やることはシンプルですが、先見性や状況ごとの判断が本当に奥深いゲームなので、大人にこそおすすめしたいボードゲームです。
最初に書いた通り、初めてだと買収されてお金を稼ぐという感覚が分かりづらいので、インスト時にこの点を念入りに伝えた方がいいです。
また、このほかにも面白いボードゲームはたくさんあります。僕のおすすめのボードゲームについては『ボードゲームのおすすめランキング』で詳しく紹介しているので、興味がある方はこちらもチェックしてみてください。
アクワイアに合うスリーブ
アクワイアの株券と紙幣に合うスリーブを紹介します。
株券に合うスリーブ
アクワイアの株券に合うスリーブは、カードバリアー100 パーフェクトサイズ(64×89㎜)です。
このスリーブに株券(63×89㎜)を入れた画像はこちら。
株券はシャッフルすることがないので、ソフトタイプでもOKです。
株券の枚数は175枚なので、カードバリアー100 パーフェクトサイズが2袋必要です。
紙幣に合うスリーブ
紙幣もスリーブに入れて保護したい場合は、カードプロテクターアーケードT2ジャスト(55×87㎜)です。
このスリーブに紙幣(50×83㎜)を入れた画像はこちら。
紙幣の枚数は155枚なので、カードプロテクターアーケードT2ジャスト(50枚)が4袋必要です。
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