ヒートを徹底紹介!限界まで走り抜けるカーレース系ボードゲーム
ヒート(Heat: Pedal to the Metal)は、年明けから世界最大のボードゲームサイトBGGのホットネスで1位になっていたボードゲームです。2023年2月にホビージャパンさんからヒートの日本語版が発売されました。
個人的にレースゲームというテーマにめっちゃ惹かれるし、仲間内でも絶対に盛り上がりそう。そして、ゲーム内容はハンドマネジメント系なのでかなり好きな部類。さらに6人まで遊べるというのはかなり貴重!
今回は、レース系ボードゲーム『ヒート』のルール&レビューを徹底紹介します。
ゲーム名 | ヒート |
プレイ人数 | 1~6人 |
プレイ時間 | 60分 |
対象年齢 | 10歳~ |
発売時期 | 2023年1月 |
デザイナー | Daniel Skjold Pedersen Asger Harding Granerud |
版元 | Days of Wonder |
日本語版販売 | ホビージャパン |
価格 | 9,350円(税込) |
関連ページ | ホビージャパンの公式ページ Board Game Geek |
ヒートはどんなボードゲーム?
ヒートは、デッキから引いたカードをプレイすることで車を前進させていくカーレース系ボードゲームです。
ギアをシフト(1速~4速)することでプレイできるカード枚数を決定し、カードの数値で車の速度をコントロールして、誰よりも速くゴールすることを目指します。
このゲームの肝は「ヒートカードの管理」です。プレイヤーはデッキにお邪魔要素の「ヒートカード」を加えることで、ブーストしてよりスピードアップしたり、コーナーをオーバースピードで走り抜けることができます。ただ、ヒートカードを溜め込み過ぎると、手札の選択肢を狭めたり、最悪の場合コーナーで曲がり切れずにスピンしてしまうこともあります。そのため、タイミングを見て車をクールダウンさせて、ヒートカードをデッキから排除するのも大事です。
また、後続車を押し上げるシステムがあるので、抜きつ抜かれつの白熱したレース展開になりやすいのも良いところ。デッキに強力なカードを3枚だけ入れて車をカスタマイズできるのも面白いし、天候や路面状況を変化させて毎回違ったレースを楽しめるのもGOODです!
ヒートのゲーム準備
まずは、ヒートのゲーム準備からです。
①コースを選ぶ
レースコースは全部で4種類(アメリカ・フランス・イギリス・イタリア)あり、周回数・1周の長さ・コーナー数が違います。
スクロールできます
- 周回数:2周
- 1周の長さ:69マス
- コーナー数:4
- 周回数:2周
- 1周の長さ:60マス
- コーナー数:5
- 周回数:3周
- 1周の長さ:54マス
- コーナー数:3
- 周回数:2周
- 1周の長さ:63マス
- コーナー数:5
今回は、イギリスマップを使って説明します。
マップを選んだら、各プレイヤーのレースカーをスタートラインに並べます。
ちなみに、僕が好きなのはイギリスコース。4連続の低速コーナーの後のロングストレートを一気に駆け抜けるのがマジで爽快です!
②レースカーのカスタマイズ
ヒートでは、自分のレースカーをカスタマイズできます。
ゲーム開始前にドラフトで改良カード3枚を手に入れて、自分のデッキに組み込めます。
四輪駆動・冷却システム・ウイング・サスペンションなどの改良カードが100枚近くあり、通常カードにはないハイスピードのカード、特殊効果付きのカードなど様々です。
スクロールできます
どれを選ぶかで自分のレースカーの強みが変わり、それに合わせて戦略も変わります。
デッキについてはスピードカード(1~4)12枚とストレスカード3枚が固定で、そこに先ほどドラフトした改良カード3枚を加えます。
デッキの構成
③プレイヤーマットをセットする
プレイヤーマットの左側にデッキ、中央のエンジンにヒートカード(イギリスコースの場合は6枚)を置き、ギアポーンは「1速」に置きます。
右側の枠は捨て札置き場です。
④カードを7枚引く
自分のデッキからカード7枚を引いて手札にします。
これでゲーム準備完了です。
ヒートのルール・遊び方
ここからは、ヒートのルール・遊び方を紹介します。
ゲームの目的
ゲームの目的は、誰よりも速く既定の回数を周回する(2周 or 3周)ことです。
今回説明に使うイギリスコースは2周です。
①ギアのシフト
まずは、ギアのシフトです。
ギアは1速~4速まであり、ゲーム開始時は1速です。
ギアの数値=その手番中にプレイするカード枚数です。
そのままにするか、1つ上げるか、1つ下げるかを選択します。
一気に2段階シフトさせることもできますが、車に負荷がかかります。その場合は、エンジンにある「ヒートカード」を捨て札置き場に移動します。
2段階アップ
エンジンにあるヒートカードを捨て札置き場へ
ヒートカードは使えない&捨てられないお邪魔要素です。ギアの2段階シフトのほかにも「コーナーでのオーバースピード」や「ブースト」などでも捨て札置き場に追加されます。
デッキがなくなった時に捨て札をシャッフルして再びデッキにするので、いずれ手札にお邪魔なヒートカードが入ってきます。
②カードのプレイ
手札からギアに応じた枚数のカードを裏向きで出します。
3速なら3枚
ここまでの「ギアのシフト」と「カードのプレイ」は全員同時に行います。
③レースカーを進める
ここからは、現在のレース順位が1位の人(より前にいるプレイヤー)から順番に手番を行います。
自分が裏向きに出したカードを表にして、その数値を合計します。
カードの上部には1・2・3・4などのスピード(数値)があり、その合計値分のマスを進めます。
例えば、「4」「3」「3」のカードを出したら、全部で10マス移動できます。
スピードの数値を合計する
合計値分のマスを進む
こんな感じで、カードの数値でスピードをコントロールして、上位を目指します。
また、デッキの中には何マス進むか分からないストレスカードもあります。ストレスカードを出した場合は、デッキの一番上から引いて、出てきた数値がストレスカードのスピードになります。
何が出るか分からないのであまり積極的に使いたくはありませんが、「スピードを上げたいけど、手札に低い数字しかない…」「手札にストレスカードが溜まってきた…」といった状況などで使うことになります。
使ったカードは捨て札置き場にいきます。
④コーナーではスピードの出しすぎ注意!
現実のレースだとコーナーでスピードを出し過ぎたら曲がり切れないことがあるように、ヒートでもコーナーでのオーバースピードはリスクがあります。
各コーナーには「制限速度」が設定してあります。急なカーブは制限速度が低く、緩やかなカーブは制限速度が高くなっています。
スクロールできます
コーナーを通過した時に合計スピードが制限速度を超えてしまったら、ペナルティーとしてお邪魔要素のヒートカードを捨て札置き場に加えなければなりません。
例えば、制限速度「4」のコーナーを合計スピード「6」で超えてしまったら、車に無理をさせた代償としてその差分の枚数(6-4=2枚)のヒートカードを捨て札置き場に加えます。
また、エンジンのヒートカードが尽きてしまいそれ以上加えられない場合は、スピンしてしまいます。スピンしたら、コーナーよりも手前に戻り、1速に戻して、さらにストレスカードを手札に加えなければなりません。
制限速度を守って安全運転していても勝てないので、タイミングを見てコーナーをオーバースピードで駆け抜けることも大事です!
⑤スリップストリームで追い抜く
スリップストリームとは、自転車レースやカーレースで、前走車の後ろにぴったりつくことで空気抵抗を抑えて速度を上げる走行法のことです。
ヒートでも他のレースカーのすぐ後ろで移動を終えると、スリップストリームが発生して、前走車の前に移動できます。
他のプレイヤーの車が前方にある時は、合計スピードを調整して積極的に狙っていきたいところです。
⑥手番中に1回だけブーストできる
また、手番中に1回だけ、自分のレースカーをより前に進ませるためにブーストすることもできます。
ブーストする場合は、ヒートカード1枚を捨て札置き場に移動することで、デッキからカード1枚を引いて、その数値分だけ前進できます。
コーナー手前まで一気に進みたい時などにガンガン使いましょう!
⑦クールダウンでヒートカードを取り除く
先ほどからお邪魔要素と言っているヒートカードは、何の役にも立たないカードで、使うことも捨てることもできないので、デッキの回転率が低下してしまいます(ドミニオンでいう呪い的な)。
このヒートカードをデッキから取り除くためには、クールダウンする必要があります。
クールダウンすることで、手札のヒートカードをエンジンに戻すことができます。
クールダウンは主に低速ギアにすることで実行できて、2速ギアにすることで1枚除外、1速ギアにすることで3枚除外できます。
また、自分の順位が最下位だった時や、クールダウンを搭載した改良カードでも実行できます。
⑧任意のカードを捨てる&手札補充
手番の最後には、手札の不要なカードを捨てることができます。
この先のコースを見越して、何を捨てて何を残すかがとても重要です。ただし、ストレスカードとヒートカードは捨てられません。
終わったら、手札が7枚になるようにデッキからカードを引きます。
⑨ゲームの終了
規定のラップ数を終えて、最初にフィニッシュラインを通過したプレイヤーの勝利です。
複数のプレイヤーが同じラウンドにフィニッシュラインを通過した場合は、より前に進んでいるプレイヤーの勝ちです。
ヒートの追加要素
ヒートではまだまだ色んな要素を追加して遊ぶことができます。
①レジェンド(オートマ)の追加
ヒートでは、レジェンドというオートマ(自動化された対戦相手)を追加できます。
ラウンドごとに10枚のレジェンドカードのうちの1枚をめくるだけなので超簡単です。
レジェンドボードとレジェンドカード
強さは本気でプレイしても勝てるかどうか分からない歯ごたえのあるレベル。普通にプレイヤーと遜色ない強さなので、僕は6台MAXになるように毎回レジェンドを追加して遊んでいます。詳しい感想は最後のレビューに書いています。
②天候・路面状況が変わる
ヒートでは天候や路面状況を変えて、コースに変化を付けることができます。
天候は6種類あって、天候によってデッキのストレスカードやエンジンのヒートカードの枚数などが変更されます。
また、各コーナーに路面状況トークンを1枚ずつ置くことで、制限速度が変わったり、スリップストリームが強化されるなどの様々な変化が加わります。
制限速度1高くなる
③チャンピオンシップルール
通常のゲームばかり遊んでしまい、まだプレイできていないのがチャンピオンシップルール。内容を読むと、追加要素モリモリでめっちゃ面白そうです!
簡単にまとめると以下の通りです。
- シーズン(3~4レース)を通してプレイ
- 改良カードを徐々に獲得(1レースに1枚)
- 特殊イベント追加
- プレス席の前では良いところを見せると、スポンサーシップカードを獲得
- スポンサーシップカードは使い捨て改良カード
スクロールできます
特殊イベントが発生したり、プレス席の前で高速で走り抜けるとスポンサーシップカード(1回だけ使える改良カード)が貰えたりします。
各レースごとにポイントを獲得して、最終ポイントが最も高いプレイヤーの勝利です。
ヒートのレビュー&評価
最後は、ヒートの良い点・微妙な点をレビューします。
ヒートカードの管理がキモ!
このゲームの肝は、お邪魔要素のヒートカードをやりくりするハンドマネジメント力です。
常に予備のヒートカード数枚を確保しておくようなヌルい走りをしていると、マジで置いて行かれます…。スピンしないように余力を残した安全運転では勝てないのがヒートです。
デッキにヒートカードがどんどん追加されながらも、スタート時には一気に3速まで上げて、ストレートではブーストして、コーナーではオーバースピードで走り抜けることなんて当たり前です。
ただ、ヒートカードが増えすぎると、手札の半分以上がヒートカードになることも…。こうなると、速度を出したいときに出せず、速度を落としたいときに落とせなくなり、スピードのコントロールが難しくなります。
そのため、タイミングを見計らって低速ギアにしてヒートカードをデッキから排除したり、ストレスカードでヒートカードを捨て札に流して手札にこないようにするのも重要です。
また、ドラフトで手に入る改良カードの中にはヒートカードを資源として使うパーツもあります。本来お邪魔でしかないヒートを計画的にうまく活用できるとかなり気持ちいいです!
抜きつ抜かれつの接戦になりやすい
ヒートでは、下位のプレイヤーを引っ張りあげるシステムになっています。
前走車の後ろで止まったら追い抜けるスリップストリームの他にも、最下位のプレイヤーには「スピード+1」「ヒートカード1枚除去」が与えられます。
これらの後続に優しいルールのおかげで、少し出遅れたとしても次第に先頭集団に追いつけますし、常に抜きつ抜かれつの白熱した展開になりやすいのも良かったです。5~6人でプレイしたらめっちゃ盛り上がりそうです!
全員が最後まで希望をもってプレイできる点や、運要素の割合が大きいことも含めて、家族でも遊びやすいボードゲームだと思います。
オートマの出来がいい
また、ヒートで特に良かったのがオートマ(レジェンド)の出来がいいことです。
ヒートを遊んだ時のツイート
ボードゲーム『ヒート』のレジェンド(自動化された対戦相手)の出来がめっちゃいい😁
— はとまめ@ぼくとボドゲ (@boku_bodo) February 5, 2023
面倒な処理が全然なくて複数人分でもサクサク動かせるし、本気で攻めないと勝てない歯ごたえのある難易度!
人数多いほうがレース感あるし、スリップストリームも発生しやすいから、2〜3人プレイなら必須レベル! pic.twitter.com/PJyHOHPLHR
最初は「オートマ動かすの面倒そう…」と思っていましたが、実際にやってみたら処理が超簡単でビックリ。2人プレイでオートマを4台入れてもサクサク動かせます。
2台追加しても4台追加しても大して作業量が変わらないので、全部で6台になるようにオートマで埋めるのがおすすめです!台数が多い方がカーレース感がでるし、スリップストリームが発生しやすくなって接戦になりやすいので盛り上がります。
そして、オートマの強さも勝てるか勝てないかのちょうどいい難易度。ちょっとでも手を抜いたら普通に負けます。自分が遊んだ時は、青のレジェンドだけめちゃくちゃ出遅れてたのに、後半グングン差を縮めてきて最後に超デッドヒートになったのにはびっくりしました。
たった10枚のカードでとてもいい動きをしてくれるので、本当に素晴らしい調整だと思います。
レースによっては稀に弱くなることもあり、強さに若干の揺らぎがあるので、そういう意味でも複数台参加させておく方が良いです。
毎回違ったコース状況を作れる
初めてルールブックを読んだときは、コースが4つあるとはいえデッキ内容があまり変わらない(18枚中15枚は毎回同じ)ので、「毎回同じパターンになって飽きるのでは…」とも思ったけど、100枚を超える改良カード、天候や路面状況の変化、様々な追加要素があるチャンピオンシップモードなどがあり、毎回違ったコース状況が作れるのでリプレイ性を心配する必要はありませんでした。
まだ遊んでいないけど楽しみなのがチャンピオンシップモード。しっかり時間を確保しなくちゃいけないのがハードルだけど、新要素モリモリで考えどころが増えそうなので楽しみです。
箱デカすぎ問題
ヒートで微妙なのは、箱がデカ過ぎるところ。
シンプルなゲーム内容に反して、ビックリするくらい分厚い!(厚みがカタンの2倍弱くらい)
僕はボードゲームをスーツケースに入れて友達の家に持っていくことがあるけど、さすがにヒートは持ち出す気になれない。せっかく6人まで遊べるのに。コンポーネントの収納のしやすさは抜群だけど、持ち運びする自分にとってはこの異常なデカさだけがちょっと残念でした。
まとめ:ヒートの個人的評価
- ヒートカードをやりくりするハンドマネジメントが面白い
- 低速コーナー後のロングストレートを駆け抜けるのが爽快
- 抜きつ抜かれつの接戦になりやすい
- オートマの処理が簡単で、複数台入れても面倒じゃない
- 色んな追加要素あり
- 長考する場面がなくて手番がスピーディー
- 箱がデカすぎて持ち運びに不向き
- 稀にオートマが弱くなりすぎることがある
以上が、ボードゲーム『ヒート(Heat: Pedal to the Metal)』のルール&レビューでした。
価格は高いけど、カーレースというテーマもそれを綺麗に落とし込んだゲーム性も好みです。我が家では5~6人でも遊べる中量級ボードゲームとして重宝していくことになりそうです。
箱の中を見ると追加のレースカーやギアポーンを収納できるスペースがあるので、拡張がでるのは濃厚そう。拡張も楽しみにしています!
また、ヒートの他にも面白いボードゲームはたくさんあります。別記事の『ボードゲームのおすすめランキング』で個人的に気に入っているボードゲームをたくさん紹介しているので、ぜひこちらもチェックしてみてください。
▽ボードゲームのおすすめランキング
スリーブ情報
ヒートのカードサイズは87×56㎜なので、ホビーベース ボードゲームサイズスリーブ・ハード(90×58.5㎜)がちょうどいい大きさです。
ヒートはシャッフル回数が多いので、折れや傷に強いハードスリーブがおすすめです。ハードタイプならスリーブ同士がくっつきにくいのでシャッフルもしやすいです。
ヒートには全部で330枚のカードが入っているので、この50枚入りスリーブなら7セットあればOKです。
ソフトタイプならこちら
拡張シリーズ
ヒートの拡張版『ヒート:ヘヴィレイン(Heat: Heavy Rain)』が発表されました。
今回は日本コースとメキシココースが追加されて、さらに水たまりやシケイン、超冷却といった新要素も加わります!
詳しくは『ヒート拡張版ヘヴィレインを徹底紹介』の記事をご覧ください。