ペンデュラムを徹底紹介!3つの砂時計が制御するリアルタイムゲーム
ペンデュラム(Pendulum)は、ウィングスパンやサイズ-大鎌戦役-などのヒット作を生み出しているストーンマイヤー社の新作です。日本語版の『ペンデュラム~振り子の帝国~』は、アークライトから2021年2月18日発売します。
このゲームの特徴は、3つの砂時計を使ったリアルタイム制になっているところ!ターンがない新感覚のワーカープレイスメントゲームです。
今回は、リアルタイム制ボードゲーム『ペンデュラム~振り子の帝国~』のルール&レビューを紹介します。
商品名 | ペンデュラム~振り子の帝国~ |
---|---|
プレイ人数 | 1~5人 |
プレイ時間 | 60~90分 |
対象年齢 | 12歳~ |
ジャンル | ワーカープレイスメント |
発売時期 | 2020年 |
デザイナー | Travis Jones |
販売元 | Stonemaier Games |
関連ページ | アークライトゲームズ公式ページ BoardGameGeek |
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ペンデュラムはどんなボードゲーム?
3つの砂時計で制御されたリアルタイムゲーム
ペンデュラムは、「手番のないリアルタイム制」を導入した、新タイプのワーカープレイスメントゲームです。これまで遊んだことがないようなユニークなプレイ感がとても新鮮です!
ゲームは3つの砂時計(45秒・2分・3分)に制御されていて、リアルタイムでマスの状態が変化するので、その状況に合わせて全員一斉に「ワーカーコマの配置・アクションの実行・手札の使用」などをスピーディーに実行します。
よくあるターン制ゲームのように自分の手番にじっくり考えるということがができないので、瞬時の判断力・素早く全体を見渡す力が必要です。
「リアルタイムフェイズ⇒決算フェイズ」を4ラウンド行い、最終的に4つの勝利点(権力・名声・人気・伝説的な業績)を一定数上げたプレイヤーの勝利となります。
ストーンマイヤー社の2020年新作
ペンデュラムを制作しているのは、『サイズ-大鎌戦役-』『ウイングスパン』『タペストリー』などの大型ヒット作を生み出し続けているストーンマイヤー社です。ゲームデザイナーはトラビス・ジョーンズ氏で、ペンデュラムが彼の第一作目となります。
ペンデュラムが生まれたきっかけは、2017年に開かれた「Stonemaier Games Design Day」でした。このイベントでは、たくさんのゲームデザイナーとゲームテスターが集まって、ゲームのプロトタイプを遊びます。そこで最も評価が高かったのが『ペンデュラム』で、これをきっかけにゲーム開発がスタートし、2020年に発売となりました。
※この内容は、Stonemaier Games公式サイトのデザイン日記を参考にしています。
ペンデュラムの『ゲーム準備』
まずはペンデュラム~振り子の帝国~のゲーム準備からです。
能力の異なる10人のキャラクターから選ぶ
ペンデュラムでは、最初に10人のキャラクターの中から1人を選びますが、それぞれ「初期資源・手札・必要な勝利点」などが異なります。
最初から「権力を持っているキャラクター」もいれば、「人気が高いキャラクター」もいたりと様々です。キャラクターは「初心者向け」と「上級者向け」に分かれているので、最初のプレイでは初心者向けのキャラクターから選びましょう。
キャラクターを選んだら、初期資源や手札、ワーカーコマなどを準備します。
最初に持っているワーカーコマは「小さなワーカー」「大きなワーカー」の2つだけですが、ゲーム中にコストを支払うなどして増やすことができます。
ゲームボードのセッティング
ゲームボードにカード類などをセッティングします。
3つの砂時計(緑・紫・黒)を所定の位置に配置します。
ペンデュラムの『ルール』
ペンデュラムのルール・遊び方を紹介します。
ゲームの目的
ゲームの目的は、「権力・名声・人気・伝説的な業績」という4つの勝利点を一定数上げることです。
必要な勝利点の数は、キャラクターによって異なります。
【基本】ペンデュラムの独特なシステム
まずは、ペンデュラムの独特なゲームシステムについて紹介します。
好きなタイミングでコマを動かせる
ペンデュラムはワーカープレイスメントゲームです。ワーカープレイスメントとは、自分のコマを好きなマスに配置して、そのマスのアクションを実行するゲームのことです。
ただ、一般的なワカプレはプレイヤーが順番にコマを配置していきますが、ペンデュラムでは、誰でも好きなタイミングでコマを置くことができます。
他プレイヤーが考えているのを持つ、ということがありません。
マスの「ロック⇔アンロック」が切り替わる
ペンデュラムの一番の特徴は、砂時計が移動することで「マスのロック状態⇔アンロック状態が切り替わる」ことです。ここがペンデュラムの重要な部分なので、詳しく説明します。
ゲームボードには「緑・紫・黒」の3つのエリアがあります。
各エリアは「上段ライン」と「下段ライン」の2段構成になっていて、どちらか一方のラインにエリアと同じ色の砂時計が置いてあります。
砂時計が置いてあるラインは『ロック状態(鍵がかかった状態)』となり、そのラインにはワーカーコマを置くことができません。上の写真では、上段ラインがロック状態です。
一方で、砂時計がないラインは『アンロック状態(鍵が開いた状態)』なのでワーカーを配置することができます。
この砂時計は砂が落ちきったら、もう一方のラインに移動するので、リアルタイムで「鍵がかかったマス」と「鍵が開いたマス」が切り替わるというイメージです。
ちなみに、3つの砂時計の時間はそれぞれ違う(45秒・2分・3分)ので、エリアによって、ロック⇔アンロックが切り替わる時間の長さ・タイミングは異なります。
これが、ペンデュラムの基本的なルールです。
①アンロック状態のマスにワーカーを配置する
まずは、先ほど紹介したように、手持ちのワーカーコマをいつでも好きなマス(アンロック状態)に置くことができます。基本的に1つのマスには1つのワーカーしか入れないので、早い者勝ちになります。
いつでも好きなマスに置けるので「置こうと思ったのに置かれたー」ということも起こります。
ただ、そんな時に役に立つのが「大きなワーカー」です。ワーカーには「小さなワーカー」と「大きなワーカー」の2種類があり、大きなワーカーは既に他のワーカーが入っているマスにも入ることができます!
【補足】
ここで注意したいのは、一般的なワーカープレイスメントゲームならすぐに資源獲得などのアクションを実行できますが、ペンデュラムではワーカーを配置した時点ではアクションを実行できません。アクションが実行できるタイミングは、ワーカーがいるマスがロック状態になった時です。(後述)
②砂時計が落ちきったら反転・移動させる
砂時計の砂が落ちきったら、同じエリアのもう一方のラインに反転させながら移動させることができます。例えば、砂時計が黒の下段ラインにあれば黒の上段ラインに、緑の上段ラインにあれば緑の下段ラインに反転・移動させます。
この砂時計の移動により、「ロック状態⇔アンロック状態」が切り替わります。
砂時計の移動は、気づいた人が任意のタイミングで実行できます。つまり、砂時計が終わっていることに気づいていても、自分の作業(コマの移動・手札の使用など)を優先したいときはあえて反転させないのもアリです。
③砂時計でロックされたコマはアクションを実行できる
砂時計でロックされているラインにあるコマはアクションを実行できます。(ロック状態のマスに新たにコマを置くことはできない)
必要なコストを支払って、ワーカーを上部マスから下部マスに移動させ、資源トークンなどを獲得します。
上の写真の場合、白いワーカーコマは「コストとして2コインを支払う」ことで、下部マスに移動し、「権力と投票トークン2個を獲得する」ことができます。
アクションを実行し終わったワーカーはすぐに回収することができません。砂時計が移動してそこがアンロック状態になったら手元に回収して、新たに配置することができます。
④いつでも手札の使用・回復ができる
プレイヤーができることは「ワーカーの配置」「アクションの実行」以外にも、手札を使うことができます。もちろん、これもリアルタイムでできるので、どのタイミングで実行してもOKです。
手札の効果は、「ワーカーコマを増やす」「勝利点を獲得する」「ロック状態のワーカーを回収できる」など様々なものがあります。
使用済みのカードは個人ボードの捨て札置き場に置きますが、資源(文化トークン5個)を支払うことで捨て札を全て回収して手札に戻すことができます。ゲーム中は手札の使用・回収を繰り返して、何度もカードを使うことになります。
⑤紫の砂時計を3回反転させたら評議会フェイズへ
一番時間の長い紫の砂時計(3分)が3回反転したら、それ以降すべての砂時計を反転させることができなくなります。
その状態で、各プレイヤーができる限りのアクションを実行したら、評議会フェイズに移行します。
⑥評議会フェイズ(決算)
評議会フェイズでは、そのラウンド中に獲得した「投票トークン」の数によって順位をつけて、報酬カードや勝利点を獲得できます。(投票トークンはラウンドごとにリセット)
報酬カードについては、評議会ボード上に7種類公開されています。1位から順に好きな報酬カードを獲得できます。
報酬カードには「手札に加わるカード」「即時効果が発動するカード」などがあります。
⑦ラウンドの終了
評議会フェイズまで終わったら、1回のラウンドが終了となります。次のラウンドに向けてセットアップしてから、3つの砂時計を反転させて、新しいラウンドを始めます。
⑧ゲームの終了
第4ラウンドの評議会フェイズが終わったら、ゲーム終了です。
「権力・名声・人気・伝説的な業績」を示す4つの勝利点マーカー全てが勝利点トラックの後半にある羊皮紙部分まで進めた場合、そのプレーヤーの勝利となります。
羊皮紙部分まで進めたプレイヤーが複数いる場合は、勝利点の数が最も高いプレイヤーの勝利となります。
ペンデュラムの『レビュー』
最後は、ペンデュラム~振り子の帝国~のボードゲームレビューです。
他にないユニークなプレイ感
ワーカープレイスメントゲームにリアルタイム要素が加わることで、これまで遊んだことがないユニークなプレイ感がとても新鮮でした!砂時計が移動することで状況が変わり、それによりスピーディーに手を動かすので、常に全体を見渡して集中している感じです。また、他のプレイヤーの手番を待つということがないので、ずっと自分のターンで脳みそフル回転、ゲーム終了後にはかなり消耗しました。笑
リアルタイムゲームというと「これやらなきゃ!あれもやりたい!あー時間がぁぁぁ…」のように時間が足りなくなることを想像するかもしれませんが、実際そこまでの慌ただしさはありません。砂時計が落ちていくのは焦りますが、普通にやりたいことができるだけの時間がちゃんとあります。
ただ、“見落とし”は起こります。ワーカーを動かせるだけ動かしたと思っていたら、「あっ、まだアクションしていない!」と未アクションのコマに気づいた時には砂時計を反転させられて、アクションできず…ということがありました。そのため、プレイ中は、「気づくなよ、気づくなよ~」「まだ反転させないで」と心の中で祈ることがありました。笑
初プレイ時は「ターン制」で慣れる
説明書にも書いてありますが、初プレイ時の1ラウンド目は「砂時計を使わずにターン制にする」のがおすすめです。(上の写真は、ターン制の時に使うボード)
僕も最初の1ラウンド目だけターン制にして遊びましたが、各マスの効果を把握しながらプレイすることで、2ラウンド目からスムーズにリアルタイムプレイに移行できました。マスの効果を把握せずにいきなりリアルタイムで始めてしまうと、カウントダウン中にボードの内容を把握するというかなり地獄な経験になってしまうと思います…。
インタラクションは弱め
ペンデュラムにはインタラクションがほぼないです。ウイングスパンと同じように、他の人のプレイを気にせずに自分がやりたいことだけに集中できるタイプのゲームです。
他の人とのやり取りは、マスやカードなどの取り合いがメインです。ただ、マスに関しては後からマスに入れる「大きなワーカー」があるのでマスに入れずにキツイというシーンは意外と少なかったです。
また、自分のことで精一杯なので、他のプレイヤーが何をしているのかを確認している余裕はありませんでした。そのため、ゲームとしてはソロプレイ色が強めですが、砂時計が切り替わると一斉にワーカーを動かそうとして手と手がぶつかったりしてわちゃわちゃするので、みんなで一緒に遊んでいる感はしっかり味わえます。
【まとめ】ペンデュラム日本語版は2021年2月発売
以上が、新感覚ボードゲーム『ペンデュラム~振り子の帝国~』のルール&レビューでした。
リアルタイム制ということで、素早く効率的に考えることが重要なゲームなので、好き嫌いがハッキリ分かれるタイプのゲームだと思います。ただ、他に類を見ないユニークなシステムなので、「こんなゲームあるんだ」と新鮮な体験ができるボードゲームです。日本語版は2021年2月18日に発売予定となっているので、機会があればぜひ遊んでみてください。
また、ペンデュラムのほかにも面白いボードゲームはたくさんあります。僕のおすすめのボードゲームについては『ボードゲームのおすすめランキング』で詳しく紹介しているので、興味がある方はこちらもチェックしてみてください。
ペンデュラムに合う『スリーブ』
ペンデュラムの2種類のカードサイズに合うスリーブを紹介します。
①「44mm×67mm」に合うスリーブ
ペンデュラムの「44mm×67mm」サイズのカードには、『キディトレイン 45×69mmスリーブ』がおすすめです。
44×67mmのカードは71枚あるので、このスリーブが1セットあればOKです。
②「59mm×91mm」に合うスリーブ
ペンデュラムの「59mm×91mm」サイズのカードには、『ホビーベース ユーロサイズ・ハード』がおすすめです。
59×91mmのカードは48枚あるので、このスリーブが1セットあればOKです。
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