キャットインザボックスを徹底紹介!色を自在に変えられる異色のトリックテイキング
今回は、「カードの色を自分で決められる」という異色のトリックテイキング『キャット・イン・ザ・ボックス(Cat in the Box: Deluxe Edition)』のルール&レビューを徹底紹介します。
もともとはゲームマーケット2020秋に操られ人形館から発表された作品で、2022年7月にホビージャパンからデラックス版として発売されました。デラックス版では、豪華なコンポーネント&2~5人までプレイ可能になっています。
▽キャット・イン・ザ・ボックス
ゲーム名 | キャット・イン・ザ・ボックス |
プレイ人数 | 2~5人 |
プレイ時間 | 30分 |
対象年齢 | 13歳~ |
ジャンル | トリックテイキング |
発売時期 | 2022年7月 |
デザイナー | 横内宗幸 |
アート | 井上磨 |
出版社 | ホビージャパン |
価格 | 2,750円(税込) |
関連ページ | ホビージャパン公式ページ BoardGameGeek |
キャットインザボックスはどんなゲーム?
色を自分で決められるトリックテイキング
キャット・イン・ザ・ボックスは、手札から出したカードの強さを比べるトリックテイキングゲームですが、革新的なのがカードの色(スート)を自分で決められるところ。
一般的なトリックテイキングではスタートプレイヤーが出したカードと同じ色を出さなければなりませんが、このゲームのカードは全部真っ黒です。手札からカードを出した時に、プレイヤーが宣言した色(赤・緑・黄・青)になります。
そして、プレイヤーを苦しめるのは、スート4色に対して、同じ数字が5枚あるところ(1枚定員オーバー状態)。もちろん既に出ている色を宣言することはできないので、うまくやりくりしないと手札が出せないパラドックス状態になって、マイナス点をくらうことも…。終盤のカードを出せるか出せないかの瀬戸際で「誰か先に破綻してくれ」と祈るような緊張感がたまりません。
また、このラウンドで何回勝つかを予想するビッド(賭け)要素や、ボーナス点をアップする陣取り要素がうまく組み合わさっていて、革新的なトリックテイキングゲームになっています。新しいトリテを体験したい方におすすめです!
スカウトアクションで1位!
キャットインザボックスは、2022年10月6日〜9日にドイツで開催された「シュピール’22」のスカウトアクション(人気投票)で1位となりました。スカウトアクションで日本人デザイナーのボードゲームが1位になるのは初めてです!
ちなみに、英語版はベジエゲームズから出版されており、さらにドイツ語版はペガサスシュピールから発売されます。
Das Stichspiel CAT IN THE BOX macht es euch nicht einfach.
— Pegasus Spiele (@pegasusspiele) January 27, 2023
Gebt an, wie viele Stiche ihr macht und legt die Farben eurer Karten selbst fest. Jede Kombination an Farbe und Zahl gibt es nur einmal, sonst gibt es ein Paradoxon.
CAT IN THE BOX erscheint in der 2. Jahreshälfte 2023. pic.twitter.com/7h5am0Z18h
海外での評価も高く、世界でも流通されるようになってきています。スカウトに続き、ドイツ年間ゲーム大賞にノミネートされるのではと密かに期待しています!
キャットインザボックスの内容物
キャットインザボックスの内容物がこちら。
スクロールできます
《内容物》
猫カード45枚(1~9 各5枚) / プレイヤートークン5種類×12個 / 調査済みトークン4個 / 研究カード4枚 / ラウンドスタートプレイヤーカード1枚 / プレイヤーボード5枚 / 研究ボード1枚 / 実験結果シート1冊
キャットインザボックスのゲーム準備
まずは、キャットインザボックスのゲーム準備からです。
各プレイヤーに「プレイヤートークン」と「プレイヤーボード」を配ります。
そして、プレイヤーボードの「×」の上にプレイヤートークンを1個ずつ置きます(4か所)。
スクロールできます
研究ボード(研究カードをセット)をテーブル中央に置きます。
そして、スタートプレイヤーは「ラウンドスタートプレイヤーカード」を受け取ります。
これで、ゲーム準備完了です。
キャットインザボックスのルール
ここからは、キャットインザボックスのルール・遊び方を紹介します。
①手札を配る
まずは、全員に手札を配ります。(2~4人なら10枚、5人なら9枚)
各プレイヤーは手札を確認して、今回のラウンドで使わないカードを1枚選んで、裏向きのまま除外します。
②マストフォロー・切り札ありのトリテ
キャットインザボックスのベースは、よくあるトリックテイキングです。
スタートプレイヤーから順番にカードを1枚ずつ出していき、数字の大きさで勝敗を決めるというミニゲーム(トリック)を繰り返します。
トリックテイキングの種類でいうと、マストフォロー&切り札ありです。スート(色)は、赤・青・黄・緑の4色。
マストフォローというのは、最初にカードを出した人のスート(リードカラー)と同じスートを出さなければならないというルール。手札に同じスートがない場合のみ、別のスートを出すことができます。
マストフォローはこんな感じ
全員がカードを順番に出したら、トリック終了。リードカラーと同じスートの中で、最も大きい数字を出した人の勝ちです。上の画像では「青の7」を出した人の勝ちで、1回のトリックに勝ったら1点獲得します。
また、キャットインザボックスでは赤色が切り札になっています。切り札は他のスートよりも強いカードのことです。たとえ他の色の数字の方が大きくても、赤色の勝ちになります。
切り札の赤が一番強い
上の画像の場合は、赤の2を出した人の勝ちで、1点ゲットです。赤が複数でたら、赤の中で一番数字が大きい人の勝ちです。
次のトリックでは、先ほどの勝者がスタートプレイヤーになります。
スタートプレイヤーは基本的に赤を出せませんが、同ラウンドで既に赤が出ていたら赤でも出せるようになります。
③自分でスートを決められる(超重要!!)
ここまではトリックテイキングの定番ルールですが、キャットインザボックスの独特な点はスート(色)を自分で決められるところ。
手札にある黒いカードは、まだスートが決まっていない状態。
カードを出す時に色を宣言することで、そのカードのスートが決まります。つまり6のカードなら、赤の6にも青の6にも黄色の6にも緑の6にもなれます。
スートを宣言したら「青の6は既に存在するよ」と示すために、研究ボードの青の6に自分のトークンを置きます。
この研究ボードを見れば、一目で既に出ているカードが分かります。
もちろん、同じカードは1枚しか存在しないので、既にトークンが置かれているスートと数字の組み合わせは宣言できません。
④リードカラーと違う色を出す場合
マストフォローでは、リードカラーと違うスートを出せるのは手札にそのスートがない時だけです。
では、キャットインザボックスではどうするかというと…
リードカラーが「黄色」だけど他のスートを宣言する時は、プレイヤーボードの黄色の上にあるトークンを取り除いて「×」が見えるようにします。
これで、手札に黄色がないことになり、他の色を出すことができます。
ただし、×にしたスートは手札にないということになったので、このタイミングから宣言できなくなります。
⑤パラドックス発生
そして、プレイヤーを苦しめるのは、スートが4種類に対して同じ数字が5枚もあるところ。
明らかに定員オーバーの状態。これがどういうことかというと…
例えば、手札に「7」がある場合。既に赤・青・黄・緑の7がすべてが出ていたら、手札の7はもう出すことができません。
手札のどのカードを選んでも出せない状態がパラドックスです。
パラドックスになったら、ただちにラウンド終了して得点計算に入ります。もちろんパラドックスを発生させた人には得点計算時にペナルティーがあります。
⑥ラウンドの終了
トリックを繰り返して、「手札が残り1枚になる」か「パラドックスが発生した時点」でラウンド終了です。
トリックの勝利数による得点は以下になります。
- トリック1勝利で1点
- パラドックスを発生させた人はトリック1勝利で-1点
さらに、勝利数予測によるボーナス点が加算されます。(次で説明)
⑦勝利数予測によるボーナス点
キャットインザボックスには、トリックテイキングのビッド要素(賭け)もありますが、成功時の得点方法が独特です。
まず、ラウンドの開始前に「このラウンドで何回勝てるか」を予想します。
プレイヤーボード上の数字(1・2・3)は予測できる勝利数です。
スタートプレイヤーから時計回り順に、プレイヤートークンを予測する勝利数の上に置きます。
順番に置いていくので、前のプレイヤーの勝利数宣言を聞いてから考えてもOKです。
ラウンド終了時に予想した勝利数が当たっていれば、ボーナス点が貰えます。
研究ボード上の自分のプレイヤートークンを確認して、自分のプレイヤートークンの一番大きな塊(縦横で繋がっている状態)を構成するトークン1個につき1点獲得します。
ちなみに、パラドックスを発生させた人はボーナス点を獲得できません。
ボーナス点に陣取り要素が含まれているので、少しでも塊が大きくなるようにカードを選択するのも大事です。
⑧ゲームの終了
ラウンドが終わったら「ラウンドスタートプレイヤーカード」を左隣の人に渡して、次のラウンドをスタートします。
すべてのプレイヤーがスタートプレイヤーを行ったら、ゲーム終了です(4人なら4ラウンドで終了)。
ゲーム終了時に最も得点が高いプレイヤーの勝利です。
キャットインザボックスのレビュー&評価
最後は、キャットインザボックスのボードゲームレビューです。
破綻するかしないかの緊張感がたまらない!
「スートを自分で決められる」という革新的要素を取り入れた異色のトリックテイキング。「これ何色にしよう」「緑はある…いや、ないことにしよう」という自由度MAXな感じはこのゲームでしか味わえません。
ただ、中盤からは選択肢が狭まっていき、終盤にはパラドックスが発生するかしないかのギリギリの状況になって「もうヤバい!誰か先にパラドックスして!」と祈ることも。ゲーム後半のドキドキの緊張感がたまらないです。
また、トリテに陣取り要素が加わったことで、パラドックスしないことばかり考えるのではなく「ボーナス点のために青の5に置きたい」「緑の7は取らせたくない」といったことも考えます。ビッド(賭け)を成功させつつ、エリアの連結数を確保していくのが本当に難しいですが、ここをうまくやりくりするのが腕の見せ所です。
また、個人的に良かったのが、カウンティング(カードの残り枚数を把握すること)不要なこと。
僕はどのカードが残っていて、他の人がどのスートを持っていないかとか覚えていられないので、カウンティングが必要なゲームは苦手です(やるときはなんとなくのフィーリング)。
ただ、キャットインザボックスはボードを見るだけでどのカードが使用されたか一目で分かるので、カウンティングが苦手な自分にとってはかなり嬉しい仕様でした。トークンが動いてズレないようになっているのもGOODです!
4人の方がパラドックスが起きやすい
これまで3人プレイと4人プレイをしましたが、3人だとパラドックスが起こりづらい印象でした。4人プレイの方が断然パラドックスしやすかったので、その分緊張感があって盛り上がりました!
トリックで勝っていても最後の最後でパラドックスしたらその勝利点がマイナス点に変わるのが面白いので、真価を発揮するのは3人よりも4人プレイだと思います。(5人では遊んでいないので分かりません)
ちなみに、世界最大のボードゲームサイトBoardGameGeekのベスト人数も4人になっています。
トリテ初心者にはちょっとハードルが高いかも
自分はザ・クルーやスカルキングなどのトリテを遊んだことがあったのでスムーズに理解できましたが、「色を自分で決める」「陣取り要素アリ」といったひねりがあるので、トリテを初めて遊ぶ人には理解するのがちょっとハードそうでした。
普段からボードゲームをよく遊ぶ人なら全然問題ないレベルですが、変則的なトリテであることは間違いないので、トリックテイキングを体験してもらうための「初めてのトリテ」には向いていないと思います。スタンダードなトリックテイキングで遊んでから「実はこんなに変わったトリテもあってね」といって取り出す2作品目にぴったりな作品です。
トリテ初心者と遊ぶ時は、最初にトリックテイキングとはなんぞやという説明をするとスムーズだと思います。(説明が長くなるけど)
まとめ:キャットインザボックスの個人的評価
最後に、キャットインザボックスの個人的評価と良かった点/微妙だった点をまとめました。
- スートを自分で決められるのが超新鮮
- 終盤のパラドックスするかしないかのドキドキ感
- 陣取り要素まで考えるのが難しくも面白いところ
- カウンティングの必要なし
- 猫がかわいい
- 3人だとパラドックスが起こりづらい
- トリテ初心者にはハードル高め
以上が、ボードゲーム『キャット・イン・ザ・ボックス』のルール&レビューでした。
革新的なトリテを体験したい方はぜひ遊んでみてください!
また、このほかにも面白いボードゲームはたくさんあります。僕のおすすめのボードゲームについては『ボードゲームのおすすめランキング』で詳しく紹介しているので、興味がある方はこちらもチェックしてみてください。
キャットインザボックスに合うスリーブ
キャットインザボックスのカードサイズ(88×63㎜)に合うスリーブは『ホビーベース 両表面エンボスマットスリーブ TCGサイズ・ソフト(89.5×64.5㎜)』です。
箱に入れると、こんな感じです。
キャットインザボックスには50枚のカードが入っているので、ホビーベース 両表面エンボスマットスリーブ TCGサイズ・ソフトが1袋あればOKです。
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